獣医師のドッグフード研究コラム

第14回:犬の熱中症の怖さと対策方法

 

 

こんにちは。獣医師の清水いと世です。
今回は、怖い病気である犬の熱中症について、その原因やメカニズム、処置方法や予防方法について説明します。

 

 

犬の熱中症とは

暑い環境や激しい運動などにより、体の熱を下げる機能を上回って体温が上昇し、さまざまな症状を示す病気です。
その置かれた状況や病気の進行によって重篤さは変わりますが、ひどい場合は、多臓器不全に陥り亡くなってしまいます。その死亡率はおよそ50%と言われています。

 

 

熱中症の原因

暑い環境や激しい運動。

 

 

体温調節メカニズム

暑い環境のような外部から得た熱や、運動のように自分で作り出した熱は、体の表面近くに持っていくことで外に放散できます。

 

ここで重要なのが血液の流れです。体の表面近くの血管が拡張するとそこに血液を多く流すことができます。

 

体の内側の熱い血液を体表近くに多く流すことで外に熱を放散できます。
このため、血液を送る心臓の働きは大切です。周りの環境が涼しければ、この熱の放散によって上がった体温は下がります。

 

わんちゃんが暑いときにお腹を冷たい床にくっつけるのは、この熱放散を利用しています。
しかし、暑い環境や激しい運動により生じた熱は、それだけでは間に合いません。

 

私たち人間は汗をかいてその蒸発の気化熱で熱を下げますが、わんちゃんの場合は、パンティング(口を開けた呼吸)を行って熱を放散させます。そのため、呼吸器の働きも重要になります。

 

暑い環境や運動に、体は徐々にしか適応できません。完全に慣れるには数か月必要ともいわれており、急な気候の変化や運動には注意が必要です。

 

 

熱中症になりやすい犬の要因

太り過ぎのわんちゃんは、その脂肪により熱の放散がうまくいきません。また太っているために気道が狭くなっていると、パンティングも効率よく行うことができません。

 

同様に、短頭種(鼻ぺちゃ犬)やいびきが多かったり、鼻の穴が狭くなっているわんちゃんは、呼吸による熱放散の効率が悪くなります。

 

黒い毛のわんちゃんは、太陽光の熱をより吸収してしまいますし、密度の濃い毛のわんちゃんでは、体表からの熱放散がうまくいきません。

 

心疾患や呼吸器疾患などの持病、老犬や子犬、その日の体調の悪さなども起こしやすい要因になります。

 

 

公園で散歩中に暑くなりパウンティングをしている犬の様子

熱中症が起こりやすい環境の要因

また、元気なわんちゃんでも、急な暑さに体が慣れていなければ熱中症をおこすことがあります。高い気温だけでなく、湿度の高さにも注意が必要です。日陰であっても風通しのないところにつないでいたり、閉じ込めていても危険です。

 

水を飲めない状態も危険です。水が飲めないと脱水します。

 

体の水分不足は、血液の量も少なくなり、血液がスムーズに流れなくなります。血液循環が悪いと、全身に酸素や栄養の輸送が不十分になるだけでなく、体表での放熱も阻害されます。

 

 

犬の熱中症の症状

熱中症の程度によって、症状はさまざまです。
ぼーっとしたり、ふらついたり、ひどいとけいれん発作といった神経症状を起こします。
体温は必ず上がっているわけではありません。熱中症の程度によっては正常な時もあります。

 

熱中症で高熱になると、全身の臓器が破壊されていきます。影響を受けやすいのは、胃腸、心臓、腎臓、肺、神経系などです。

 

胃腸が障害されると下痢や血便になり、腎臓では尿が作られなくなります。肺や心臓が障害されると呼吸による酸素交換がうまくいかなくなり、不整脈が起こります。さらに熱放散に必要な呼吸と血液循環が不十分になり、熱中症が悪化してしまいます。

 

 

みなさんができること

熱中症が疑われるときは、まず動物病院に連絡しましょう。

体温測定ができて高体温(40℃以上)のとき、または測定できないけど、明らかに体が熱いときは、体を冷やします。冷却を行いながら動物病院に向かってください。

 

体温測定は、肛門(お尻の穴)に体温計を入れなくても、人と同じように腋の下や内股に挟んで測定することもできます。

 

体を冷やすときは、内股や腋の下、首の横など太い血管が走っているところを冷やすようにしてください。体の表面全体を冷やしすぎると、冷たいと感じた表面近くの血管が収縮してしまい、効率よく熱放散ができなくなることがあります。濡れタオルを体にかけて風を送って熱を放散する方法も効果的です。

 

冷却を続けると体温が下がりすぎることがあるため、体温が39.5℃になったら冷却は中止します。体温が測定できない場合は、保冷材などによる過度の冷却は避けるようにしましょう。

 

すべての処置は、嫌がるようであれば、無理をしてはいけません。わんちゃんが嫌がって暴れること自体が、熱を作り出してしまいます。

 

動物病院では、緊急で処置が行われます。それでも、熱中症の進行を止められないこともあります。

 

入院時には、立ち上がっていたわんちゃんが、数時間後には立てなくなってしまうこともあります。体温を下げることができても、高熱により多くの臓器が破壊された後だと、回復できずに亡くなってしまうこともあります。

 

 

熱中症にならないように水分を摂取する犬の様子

熱中症予防と暑さ対策

熱中症になってしまったときに、いかに早く処置が始められるかは、命が助かるかどうかにとても影響してきます。そのため、外出時には近くの動物病院を探しておきましょう(休診日や休診時間のチェックも忘れずに)。

 

天気予報で急に暑くなるなどの気温の変化がないかや湿度をチェックしましょう。
気温や湿度が高い場合、暑さになれていない状態(急な気温上昇日や、室内飼育犬)での外出や激しい運動は避けましょう。

 

抱っこやスリングなどの抱っこバックに入れたわんちゃんと飼い主さんとの密着、カート内での複数頭のわんちゃん同士の密着は、熱の放散がうまくいかず、体温が上がってしまいます。
快適に過ごせるように配慮しましょう。

 

お散歩の時間帯も注意が必要です。涼しい明け方はいいですが、夕方は人間が涼しく感じても、地面近くはまだまだ暑いことも多く、四つ足動物のわんちゃん(特に胴長短足のわんちゃん)は、体全体でその熱を受けてしまいます。

 

こまめに水分を取らせましょう。無理に飲ませる必要はありませんが、飲ませることを忘れないようにしましょう。パンティングしている舌の潤いはお水が欲しいかどうかの目安になります。

 

人が汗によって熱を放散するように、わんちゃんに濡れた服を着せたり、霧吹きで水を吹きかけるのも方法です。ただし、この方法は、毛の濃いわんちゃんには効果があまりよくありません。

また、小型犬など、濡れた服を着せることにより、寒くなって震える場合もあります。
それぞれのわんちゃんに合った方法を探しましょう。

 

暑さ対策で毛刈りをするのも方法ですが、その後、毛があまり生えなかったり、シミになることがあります。わんちゃんの見た目が気になる場合はご注意ください。

 

こまめにわんちゃんの状態を見るようにしましょう。おしゃべりやイベントに夢中になって、わんちゃんを忘れないようにしましょう。

 

車内への放置は、もちろんダメです。

 

わんちゃんは、暑すぎてものどが渇いても、何も言わずみなさんを待っています。

 

わんちゃんの調子が悪いなら、出かけない!
わんちゃんが太っているなら、ドッグフードやおやつを減らしてダイエットする!ことも大切です。

 

 

 

 

 

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