獣医師のドッグフード研究コラム

第38回:犬のよだれが多いとき

 

 

こんにちは。獣医師の清水いと世です。

 

わんちゃん、よだれが出ていませんか?
ネチョネチョよだれですか? それとも、さらさらよだれ?
ある日突然、よだれが大量に出ていたけど、気が付いたら治っていた。
そんなことありませんか?

今回は、そんなわんちゃんのよだれについての話です。

 

よだれとは、唾液を口から垂らしてしまうことです。流涎(りゅうぜん)ともいいます。
よだれが大量に出ているということは、唾液が口から大量に出ているということです。この原因を考えるうえで、まずは、よだれの素である唾液についてのお話から始めます。

 

 

犬の唾液について

唾液は、消化管の中で一番はじめに口の中に分泌される消化液で、唾液腺(耳下腺、下顎腺、舌下腺、頬骨腺)から出てきます。

 

犬の唾液は、ヒトのように、でんぷんを消化してくれるアミラーゼが含まれていませんが、ドッグフードを飲み込みやすい状態にまとめてくれます。また、犬は唾液を気化させて体を冷却することに用いていて、ヒトより速いスピードで唾液を分泌することができます。

 

唾液の分泌は、神経によって制御されています。唾液腺の種類や唾液の分泌量によって、唾液の組成は変わってきます。唾液は主に味覚によって分泌されますが、食べ物を見たり、香りを嗅いだりすることでも分泌されます。

 

食べ物のタイプや水分量でも分泌量は変化しますし、ストレスを受けると粘調性の高い唾液が分泌されます。

 

 

流涎症(唾液分泌過剰症)とは

流涎症(唾液分泌過剰症)とは、よだれが大量に出てしまうことです。
流涎症は、唾液が過剰に作られていたり、唾液を口の中に貯めておけなかったり、唾液を飲みこめない(嚥下障害)などのようなときに生じます。

 

よくある原因は、口の中の異常です。他に、唾液腺や食道を含めた消化管の異常、神経系の異常、薬物や毒物摂取による症状のこともあり、栄養バランスの悪い食事によって生じることもあります。

 

 

口の中(口周り)の異常

歯茎やのどの炎症(口内炎)、歯の破折や歯髄の炎症、顎の骨の骨折や異常な骨増殖、咀嚼筋の炎症など、口の中や顎の骨や筋肉に痛みがあったり、腫れがあったりすることで、唾液が大量に作られたり、唾液を口の中に保持できなくなったり、唾液を飲みこめなくなってしまうことがあります。

 

口の中や口の周りのチェックが必要ですが、痛みを伴っている場合や、怒りんぼうのわんちゃんの場合、上手く観察できないかもしれません。

 

水の飲み方やドッグフードやおやつの食べ方でチェックする方法が最も簡単です。

 

飲まない、食べない、飲みにくそう、食べ方がおかしい、口を気にして前足でかく、頭を振る、鳴きながら食べるなど、異常があれば、いえ、異常がなくても、唾液が出続けることは異常ですので、動物病院で診てもらいましょう。

 

 

食道や胃腸の異常

食道に炎症や異物、また巨大食道症という食道が拡張した状態があるときも、唾液が多量に出てしまうことがあります。

 

胃腸の調子が悪い場合の症状のこともありますが、通常、この場合、食欲の減少や嘔吐、下痢、腹痛などを伴います。

 

また、胃腸症状の根本原因が、胃腸炎や腸閉塞、腸重積のような胃腸自身に原因であることもあれば、腎臓や肝臓のように他の臓器が悪くて、胃腸症状が出ている場合もあります。

 

 

中毒

唾液分泌を刺激するような薬物や毒物の摂取によって、過剰に唾液が分泌される場合があります。観葉植物をかじってしまった、お散歩で何か拾っていた、お散歩の後の手足を舐めるお手入れをした後から唾液が止まらないなど、原因を探しましょう。

 

刺激物や毒物の場合、流涎症の症状だけでなく、ひどい場合は口の中やのどの腫れを伴い、呼吸困難に陥る場合もあります。

 

 

神経系の異常

口の中や口の周囲の組織を支配する神経系に異常が生じ、機能が麻痺して口が閉まらなかったり、飲みこめなかったり、過剰に反応を起こして唾液が多く分泌されたりする場合もあります。てんかん発作の症状のひとつの場合もあります。

 

 

心理的問題

恐怖によるアドレナリンが分泌で、粘調性の唾液分泌が増えることもあります。

 

 

犬がよだれを垂らしている様子

動物病院では

上記したように、流涎症の原因を探すために、口の中を含めた身体検査や血液検査などを行います。
痛みがひどいときや、性格的に問題がある場合は、鎮静や麻酔をかけてから、口の中の検査を行う場合もあります。

 

唾液が多く出ているだけだと思っていても、怖い病気が隠れていることもあります。血液検査で、腎臓や肝臓など内臓の異常がわかることがありますし、レントゲン検査で、顎の骨折や食道の拡張などがわかることもあります。動物病院で診察、検査を行ってもらいましょう。

 

 

犬のよだれのまとめ

わんちゃんがひどくよだれを出している時、通常、口の中に問題があります。ただし、口の中をチェックしてもわかりにくいときもあります。歯のぐらつきはもちろん、毒物や薬物、刺激物を食べたり、舐めたりしなかったかどうか、確認が必要です。

 

怖い病気が隠れている場合もあるため、動物病院で診察を受けましょう。
根本原因が見つかり、治療によって原因が取り除かれれば、改善します。

 

日頃から、わんちゃんの手や口の届くところには注意をしましょう。また、口の中も、歯ブラシなどでお手入れをしていると、いつもと違う口の中の赤みや腫れのような異常に気づきやすくなります。

 

わんちゃんの口の中まで見て、愛しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

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犬の写真

獣医師清水 いと世 (京都大学博士 / 農学)

山口大学農学部医学科卒業後、動物病院にて勤務。
10年ほど獣医師として勤務した後、動物専門学校で非常勤講師を務める。
その後、以前より関心のあった栄養学を深めるために、武庫川女子大学で管理栄養士の授業を聴講後、犬猫の食事設計についてさらなる研究のため、京都大学大学院・動物栄養科学研究室を修了。
現在は、栄養管理のみの動物病院「Rペット栄養クリニック」を開業し、獣医師として犬猫の食事にかかわって仕事をしたいという思いを持ち続け、業務に当たる。

 

 

 

 

 

 

 

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