獣医師のドッグフード研究コラム

第18回:犬の心臓病 うっ血性心不全

 

 

こんにちは。獣医師の清水いと世です。
今回は、犬の心臓病のお話です。
わんちゃんのうっ血性心不全について説明します。

 

 

犬のうっ血性心不全とは

うっ血性心不全とは、心臓の働きが悪くなり、血液の流れが滞ってしまい、体に水分がたまってしまう病気です。

 

人間も犬猫も、食事から得た栄養や、呼吸から得た酸素は、血液によって体の細胞に運ばれていきます。

そして、細胞から排出された二酸化炭素や老廃物は、血液によって肺や腎臓のような排泄器官へと運ばれていきます。この血液の流れている管が血管で、血液を流すポンプが心臓です。

 

心臓が悪くなり全身へうまく血液が送れなくなると、体はその状況に対応するために、血管を細くして血圧をあげ、血液がしっかり流れるようにします。
また、水分やナトリウムを尿として排泄せずに体に留めることで、血液の水分量を増やして血流を確保します。

心臓の働きが非常に悪いと、最終的に、血管から水分があふれてしまいます。これが皮膚のむくみや肺に水が貯まる肺水腫という状態です。

 

 

犬のうっ血性心不全の原因

うっ血性心不全は、僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症など心臓の病気によって生じます。

 

僧帽弁とは、心臓の弁の一種で、血液を一方向に送り出すための逆流防止弁です。僧帽弁閉鎖不全症は、この弁がきちんと閉まらず、血液が逆流してしまう病気です。

 

心臓の筋肉は、しっかり収縮することで血液を全身に送ることができます。
拡張型心筋症は、心臓の筋肉が薄く拡張してしまい、収縮が弱くなり血液をきちんと送ることができなくなる病気です。

 

 

犬のうっ血性心不全の症状

心臓には4つの部屋があります。

右の部屋には、血液が全身から戻ってくる部屋(右心房)とその血液を肺へ送る部屋(右心室)があります。

左の部屋には、肺で酸素交換の済んだ血液が戻ってくる部屋(左心房)とその酸素を多く含んだ血液を全身へ送るための部屋(左心室)があります。僧帽弁は、左心房と左心室との間にある弁です。

 

僧帽弁閉鎖不全症になると、左心室から左心房へ血液の逆流が生じるために、肺から左心房に血液が戻りにくくなります。このため、肺でうっ血が生じ、血管から水分が漏れ、肺水腫という肺に水が貯まる状態になってしまいます。

咳の症状が多くみられますが、ひどくなると、呼吸が苦しく寝ることができず、座ったままで懸命に努力して呼吸を行うこともあります。

 

肺には、吸気によって血中に酸素を取り込み、呼気によって血中の二酸化炭素を排出する大切な役割があります。

肺が水浸しになると、この酸素交換ができなくなります。
体の細胞は、血液から酸素をもらって活動していますが、この血液を送るポンプである心臓が悪く、さらにその酸素交換を行う肺も悪くなってしまうと、非常に危険です。

 

右側の心臓の異常によって、全身からの血液が心臓に戻りにくくなると、むくみ(浮腫)を生じます。

 

 

犬のうっ血性心不全の検査

わんちゃんの調子が悪くて動物病院に連れて行くと、心臓を調べるために、胸部(心臓と肺)のレントゲン検査や心臓の超音波検査(エコー検査)、心電図検査を行うことがあります。また、血液検査をすることもあります。

 

心臓の聴診は、健康診断や予防注射など、わんちゃんの調子が悪くなくても、よく行われます。
心臓から雑音が聴取されると、獣医師は僧帽弁閉鎖不全症のような弁膜疾患を疑い、飼い主様にこの病気の説明を行います。この時、症状のない元気なわんちゃんだと、驚かれる飼い主様も多いでしょう。

 

これは、まだ、弁膜疾患がひどくなっていないためだと考えられます。
病気が進行すると、疲れやすさや咳が生じ、発作が起こることもあります。動物病院で、治療方針をしっかり相談しましょう。

 

 

犬のうっ血性心不全の治療

通常、血管拡張剤や強心剤、利尿剤などの内服薬で治療します。わんちゃんの状態に応じて、一時的に使う薬もあれば、継続して飲み続けないといけない薬もあります。

 

ベッドでくつろいでいる犬の様子

自宅でできること

 

快適な環境で安静に過ごさせることです。
興奮して吠えたり、追いかけっこの運動など、心臓が激しくドキドキすることがないようにしましょう。激しい心臓の拍動は、僧帽弁閉鎖不全症では血液の逆流が増えてしまい、うっ血が悪化します。

 

最近では、酸素発生機を自宅で使うこともでき、酸素の充満したお部屋(ボックス)でわんちゃんを休ませることができます。
しかし、その酸素ボックスに入ることを嫌がって暴れたりするようではよくありません。また、酸素(空気)の風が直接わんちゃんにあたることを、嫌う場合もあります。無理せず、少しずつ慣れさせましょう。

 

太り過ぎのわんちゃんはダイエットが必要ですが、運動で痩せさせるわけにはいきませんので、ドッグフードやおやつを減らしましょう。

また、痩せすぎもよくありません。適切な体型を維持するようにしましょう。

 

うっ血による体の水分増加のために体重が増えることもあります。動物病院で指導を受けながら、適切な体重管理をしましょう。

 

 

食事

僧帽弁閉鎖不全症のような慢性心臓弁膜症の診断と治療のガイドラインでは、症状が認められた段階から、症状に応じた食事療法を推奨しています。

 

塩分(ナトリウム)量は制限が推奨され、タンパク質や摂取エネルギー量、カリウムやマグネシウム量は症状や検査結果に応じて増減し、n-3脂肪酸は補給を考慮します。

 

ナトリウム量は、少なすぎるのも血液循環に悪い影響を及ぼすため、慢性的にドッグフードの基準であるAAFCO養分基準の下限を下回ってはいけません。
動物病院で処方される心疾患用療法食のナトリウム量は、ほとんどがこのガイドラインの推奨範囲内ですが、通常のドッグフードではナトリウム量が多いこともあります。

 

また、国内の手作り食の調査では、塩味のある味付けを行わなかった手作り食では、約2割でナトリウム量がAAFCO養分基準の下限を下回っていました。ナトリウム量の少ない食材を用いた手作り食では、適切な量の塩分を加えなくてはいけません。

 

心疾患時に推奨されているn-3脂肪酸の量は多く、一般的な心疾患用療法食は十分量のn-3脂肪酸が含まれています。手作り食や、通常のドッグフードでは、n-3脂肪酸を多く含む食材やサプリメントを併用しないとこの量を満たすことができません。n-3脂肪酸は過剰摂取にも注意が必要な栄養素ですので、わんちゃんの口から摂取するn-3脂肪酸量は、合計して考えましょう。

 

うっ血性心不全の栄養管理を行う場合には、獣医師や専門家による指導が必要です。

わんちゃんによっては、心臓病であっても、心臓病の療法食が適切ではないこともあるため、獣医師の指示なく療法食を購入してはいけません。また、療法食は継続すべきか変更すべきか、獣医師による定期的なチェックも必要です。

 

 

 

 

 

 

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