獣医師のドッグフード研究コラム

第53回:犬の血液検査項目 -Ca(カルシウム)-

 

こんにちは。獣医師の清水いと世です。

今回は、わんちゃんの血液検査項目のCa(カルシウム)についてです。

 

 

はじめに(この血液検査項目のコラムをはじめてご覧になる方はお読みください)

ここで取り上げている血液検査のひとつの項目のみで、わんちゃんの健康や病気の状態は判断できません。
動物病院では、他の血液検査の項目、触診や聴診のような身体検査、そしてレントゲンやエコー検査などを組み合わせて診断を行います。
ここの内容は、動物病院で受けた検査項目の確認や、かかりつけの獣医師から受けた説明の復習にご利用ください。

 

心配な血液検査結果は、わんちゃんのためにも、必ずかかりつけの動物病院に相談しましょう。
ネットで情報をピックアップして不安を増やしてしまうより、かかりつけの獣医師に直接ご確認いただいた方が、早めの解決につながります。

 

 

犬の体内のカルシウムの役割

カルシウムは犬の体内では骨や歯に多く含まれ、血液中には少ししか含まれていません。

カルシウムは骨や歯の強度に貢献するだけでなく、血液の凝固や神経伝達、筋肉の収縮など、大切な役割を果たしています。そのため、血液中のわずかなカルシウムの量はとても重要です。

 

血液中のカルシウムは多すぎると、血管や腎臓のような場所に沈着して石灰化や結石の原因となります。また、少なすぎればテタニーというけいれんの原因にもなります。

 

このため、カルシウムは上皮小体ホルモン(PTH)やビタミンDなどによって、腸からの吸収、骨からの動員、腎臓からの排泄がコントロールされ、血液の濃度は一定に保たれるように厳密に制御されています。

 

 

犬の血液検査のカルシウムの種類

犬の血液中のカルシウムには、タンパク質(アルブミン)やリン酸などと結合したタイプと結合していないイオンタイプがあります。

 

血液検査のカルシウムには、総カルシウムとイオン化カルシウムがあります。動物病院で一般的に行われるカルシウムの検査は、総カルシウムの検査です。

 

イオン化カルシウムは、血液凝固や筋肉の収縮のような生命活動に関連していますが、簡単には検査ができず、検査センターでの測定が必要なため、費用と時間がかかります。

 

 

カルシウム値が異常となる原因

血中のカルシウムは高すぎても低すぎても問題が生じます。

 

高カルシウム血症になると、元気や食欲がなくなり、飲水量や尿量が増えます。高カルシウム血症の原因で多いのは、腫瘍です。

すべての腫瘍が高カルシウム血症を生じさせるわけではありませんが、リンパ腫のような一部の腫瘍は、血中のカルシウムを増加させる物質を分泌するため、高カルシウム血症が生じます。

 

このほか、上皮小体機能亢進症や慢性腎臓病が原因で高カルシウム血症を生じる場合もあります。

 

低カルシウム血症ではテタニーというけいれんを生じる場合があり、動物病院で治療が必要となります。

母犬のテタニーは有名で、これは母体内のカルシウムが母乳へ動員されるために起こります。

子犬の成長は早く、その骨格の発育には大量のカルシウムが必要です。母犬は子犬の成長のために母乳にカルシウムを送り続けなければいけません。

 

総合栄養食のドッグフードには、成犬用のほかに、子犬や妊娠、授乳期の母犬用、そしてこのどちらの要求量も満たすように作られた商品があります。子犬の成長のために、母犬の健康のために、カルシウムの要求量の高まっている時期には対応しているドッグフードを選びましょう。

 

低カルシウム血症はこのほか、上皮小体機能低下症や腎臓病、蛋白漏出性腸症のような慢性腸症で生じる場合もあります。

 

 

元気に走り回っているトイプードル

カルシウム値とドッグフードの関係

血液中のカルシウム濃度は、主に上皮小体ホルモンやビタミンDが体内で変換した活性型ビタミンDによって制御されます。

 

ドッグフード自体がカルシウム値に直接かかわることは少ないですが、体内のカルシウムのためには、カルシウムやビタミンDを過不足なく含むドッグフードを与えましょう。
特にビタミンDはカルシウムの吸収にかかわるため大切です。

 

総合栄養食のドッグフードであれば、必須栄養素は過不足なく含まれていますが、手作り食を与える際には、食材のみですべての栄養素の要求量を満たすことは難しいため、サプリメントの使用を考えましょう。

特に、腸に病気があったり、低脂肪食を与えたりしている場合は、脂溶性ビタミンであるビタミンDの吸収が不十分になるかもしれません。動物病院の先生の指示を仰ぎながら栄養管理を行いましょう。

 

 

カルシウム値が異常の場合は原因究明と治療効果の確認のために追加検査を実施

動物病院では、高カルシウム血症や低カルシウム血症の原因を探すために、ほかの種類の血液検査、レントゲンやエコー検査などを行います。

 

もちろん、食事内容の確認も重要です。

 

ドッグフードの内容は商品のパッケージやその公式サイトの紹介ページから確認することができます。

ドッグフードの名称には、類似した名前の商品もあります。
商品が異なれば、通常、その内容は異なるため、間違えないように気を付けましょう。

 

 

異常な血中カルシウムを改善させるためには原因に応じた治療や栄養管理が必要

高カルシウム血症は、カルシウムを増加させる腫瘍を手術するように、原因に対する治療のほか、血中のカルシウムを下げるために点滴や薬による治療も行われます。

 

低カルシウム血症の際も原因の治療のほか、血中のカルシウムを上げるためにカルシウムやビタミンDの注射を行います。

 

高カルシウム血症だからカルシウムの少ない食事、低カルシウム血症だからカルシウムの多い食事が適しているとは限りません。

パッケージに記載されている成分値などでドッグフードに含まれるカルシウム量を確認することは大切ですが、血中のカルシウム濃度に影響を与えた原因はそれ以外であることが多く、フードの変更やカルシウムサプリメントの使用が必要かどうかは、かかりつけの動物病院で相談しましょう。

 

 

まとめ

血液検査の項目、カルシウムは生命維持にかかわる大切なミネラルです。血液中のカルシウム濃度は、高すぎたり低すぎたりしないように、一定に保たれています。

異常値が認められた場合は、ドッグフード中のカルシウムやビタミンDの量も確認しましょう。

 

 

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犬の写真

獣医師清水 いと世 (京都大学博士 / 農学)

山口大学農学部医学科卒業後、動物病院にて勤務。
10年ほど獣医師として勤務した後、動物専門学校で非常勤講師を務める。
その後、以前より関心のあった栄養学を深めるために、武庫川女子大学で管理栄養士の授業を聴講後、犬猫の食事設計についてさらなる研究のため、京都大学大学院・動物栄養科学研究室を修了。
現在は、栄養管理のみの動物病院「Rペット栄養クリニック」を開業し、獣医師として犬猫の食事にかかわって仕事をしたいという思いを持ち続け、業務に当たる。

 

 

 

 

 

 

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