PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
・シザーズ・バイト(鋏状咬合・はさみじょうこうごう)
犬の正しい噛み合わせで、ほとんどの犬種の見本とされています。上の前歯の裏面に下の前歯の表面が接触している噛み合わせです。上の前歯が下の前歯より少しだけ前に出ている状態を想像してください。
・レベル・バイト(水平咬合、切端咬合・せったんこうごう)
上下の前歯の端がきっちりとかみ合う噛み合わせです。
・オーバーショット(上顎前出咬合・じょうがくぜんしゅつこうごう)
下顎より上顎が長く、上の前歯が正常な位置より前に出ていて、上下の前歯の間に隙間ができています。いわゆる「出っ歯」です。
・アンダーショット(下顎突出咬合・かがくとっしゅつこうごう)
上顎よりも下顎が長く、口を閉じたときに下の前歯が上の前歯の前に出ています。いわゆる「受け口」「しゃくれ」です。
基本的にほとんどの犬種で理想的とされるのはシザーズ・バイトで見本となる噛み合わせですが、アンダーショットがスタンダード(標準)となっている犬種もいます。今回はこのアンダーショットについてみてみましょう。
現在、300種類を超える犬種の中でブルドッグ、ペキニーズ、パグ、ボストンテリア、フレンチブルドッグ、ボクサーなどの短吻種(たんぷんしゅ)、いわゆる鼻ペチャタイプの犬は、ほとんどの場合アンダーショットが理想とされ、犬種の標準となっています。
例えば、フレンチブルドッグの場合、歯についてもスタンダードとして細かく規定があり、
・下の切歯(前歯)は、どのような場合においても、上の切歯(前歯)より内側にくることがあってはならない。
・顎は側方に逸脱しても、ねじれていてもならない。
・切歯(前歯)のアーチの配置は、あまり厳しく定められない。重要な点は、上唇と下唇が完全に歯を覆うような形で結び合わされることである。
となっています。ブルドッグの場合は、普通の状態では口が閉じない程の強いアンダーショットが標準となり、15ミリ以上出ているブルドッグもいます。
ボストンテリアは、ほぼレベル・バイトか、ほんの少し下の前歯が出ている程度が望ましいとされています。また、ブルドッグの血が入っている犬種ではよく見うけられ、ブルドッグの血が随分薄くなっているとはいえ、土佐闘犬にもアンダーショットが見られます。
5ミリ程度までのアンダーショットであれば、生活に支障はないと言われています。ドッグフードなどを入れる食事をするときの食器や、水を飲むときの器に工夫が必要になってくるかもしれませんが、ほとんどの場合、特に問題なく普通に生活できます。
しかし、それ以上になると、犬歯が歯肉に刺さる可能性もあり、見た目にも目立ちます。また、ドッグショーに出場する場合は、欠点とみなされてしまうケースもあります。シザーズ・バイトに比べ、歯垢が付きやすいといわれていますので、オーラルケアに気をつけたいところです。
人間の場合、不正咬合となると歯並びを整える矯正などの治療を行いますが、犬の場合は、特別なことがない限り治療はしません。診断は獣医師による目視で行い、不正咬合があっても生活や健康に特に影響がなければそのままにしておくことがほとんどです。
しかし、そのままでは口腔内に傷がついてしまったり、歯周病を起こしたりする可能性がある場合は、抜歯や板管治療という歯の切断と処置を行うケースもあります。とはいえ、抜歯とひとことでいっても、簡単ではありません。まず、全身麻酔が必要になります。特に、下あごの犬歯を抜くには、下顎骨折というリスクもあるので、歯科専門の先生でも、よほどの問題がない限りしないとのことです。矯正も人間のように何年ものあいだ矯正器具をつけ、時間をかけた矯正は犬に苦痛を強いた生活を行うことになってしまうため、望ましいとはいえません。
ペットシップなどで、アンダーショットの子犬は正常な噛み合わせの子犬に比べると価格が安くなっている場合がほとんどです。その為か、アンダーショットでは何か大きな問題があるのでは?と不安を抱くこともあるようです。ドッグショーでは、イングリッシュ・コッカースパニエル、セントバーナード、ロットワイラー、コーギー、コリー、シュナウザーなどは、大きな欠点とされてしまいますが、ショードッグではなく、家庭の犬として暮らしていくのであれば、生活に支障がない程度のアンダーショットは『うちの子のチャームポイント』として捉えましょう。
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