PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
家族の誰かが、知らない人と話をしているのを見て、犬が急に吠え始めることがあります。このようなとき、一般的には、知らない人に対して警戒しているのだと思われがちですが、もしかしたら、犬が吠えている理由はそれだけではないかもしれません。
実は、犬は家族と親し気にする第三者に対して、嫉妬心、いわゆる”やきもち”を焼くことがあります。
これまでは、嫉妬ややきもちというと、人間だけがもつ複雑な感情のように考えられてきました。ですが、実はそうとも言い切れないことが、研究により分かってきています。
2014年7月、科学学術サイト「PLOS」にて、「犬の焼きもち」について、興味深い研究結果が発表されました。実験を行ったのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者たちです。
その実験はとてもシンプルなもので、参加した飼い主に、愛犬のことを無視しながら「リアルなぬいぐるみの犬」「飛び出す絵本(音声付き)」「プラスティック製のハロウィンのカボチャ」を、それぞれかわいがってもらい、その様子を録画。その映像をもとに犬が嫉妬するかどうかについて、36匹の犬の行動を分析したそうです。
その結果、80%の犬が「ぬいぐるみの犬」をはらい落とすなどの攻撃的な行動、もしくは、飼い主とぬいぐるみの間に入ってかまってもらおうとする行動を見せたということです。また「ハロウィンのカボチャ」に対しては42%、「飛び出す絵本」に対しては22%の犬が同様の行動を見せる結果となりました。
この結果を受け、論文の執筆者のひとりでもあるChristine Harris氏は、「犬に聞いて確かめたわけではないが、彼らは大切な関係を守ろうとするようだ」とコメントしています。犬の嫉妬心について、研究結果が発表されたのは、これが初めてとのことですが、これをきっかけに、犬のこころについての理解が深まることに、期待したいところです。
実験結果からも推察できることですが、犬はどうやら本などの”モノ”より、もぬいぐるみなど、より生き物に近い形をしたものに対して、やきもちを焼く場合が多いようです。
そして、この実験が行われる以前から、一緒に暮らす家族や他の動物に対して、犬が”やきもち”にも似た行動をとることが確認されています。たとえば、赤ちゃんや一緒に飼っている他の動物などがしばしばその対象となるようです。
犬にとって身近に自分より可愛がられている存在がいるというのはあまり面白くないことのようで、その腹いせに赤ちゃんのおもちゃをかじってボロボロにしてしまったり、一緒に暮らすペットに対して威嚇するような行動をとることがあります。
また、旦那さんが奥さんとソファでくつろいでいるのを見て、わざと間に割って入ったり、さらには、母犬が子犬ばかり可愛がられているのに嫉妬し、育児放棄してしまうなど、中には深刻な例もみられます。
一説によると、犬がやきもちを焼く理由のひとつに、集団の中での、序列意識があるとされています。犬は、家族の中で誰がリーダーかを決め、また家族ひとりひとりにも、それぞれ順位をつけて序列化しています。
その中で、赤ちゃんや自分より後に家にやってきたペットなど、順位が自分よりも下だと考えていた存在が、自分よりも目をかけられている状況は、自分の立場が危ういことを意味するものと考えるようです。そこで、自分の地位を守るため、序列が低いと考える相手を攻撃し、存在をアピールするのです。
犬がやきもちを焼いた時に、見せる行動にはいくつか特徴的なものがあります。その中から、典型的な3つの行動をご紹介します。
1.飼い主の持ち物をかじる
まず、よく見られるのが、家族の持ち物をかじるパターンです。例えば、毎日履いている靴やスリッパなどを執拗に攻撃します。犬は、とても頭のいい動物で、家族が毎日使っている持ち物をちゃんと覚えています。
そして、飼い主の気を引くために、わざとそれらを狙ってかじろうとするのです。
2.トイレの失敗
次によく見られるのがトイレの失敗です。トイレの躾が済んでいるにもかかわらず、リビングや廊下など、所かまわずおしっこやウンチをして汚してしまいます。このトイレの失敗も、実は犬がやきもちを焼いているサインであることが多いといわれています。
このとき「どうして、ちゃんとトイレができないの!ダメでしょ!」などと強く怒っては、かえって逆効果になることもあります。「飼い主さんに冷たくされた」「構ってもらえなかった」とスネた犬は、さらにトイレの失敗を繰り返す可能性があります。
そのため、たとえいつもならしないような場所で、トイレをしたとしても、まずは怒らずに優しく接してあげるようにしてください。家族からの愛情が感じることができれば、そのような行動も徐々に収まっていくはずです。
3.とにかく掘りまくる
犬は、ストレスを感じると、床などを掘るしぐさを繰り返すことがあります。外で飼われている犬の場合であれば、庭を走り回ったり、散歩をすることで、ストレスが解消される場合が多いのですが、室内犬、特に普段あまり運動をしない犬の場合には、よりストレスをためやすい環境にあるといえるでしょう。
そして、犬にとっては、家族に構ってもらえないことも、ストレスをためる原因の一つであり、嫉妬心によるストレスが引き金となって、しばしば繰り返し床やカーペットなどを、掘るしぐさをみせるのです。
犬が”やきもち”から問題行動をみせたときは、大声で騒がず、まずは無視することが効果的です。犬が問題行動をする目的は、あくまで自分の方を振るむいてもらうこと。そのような行動に、効果が無いと分かれば、やがて諦めておとなしくなるでしょう。
ただ、もし困った行動がなかなか収まらない場合は、ドスを効かせた低い声で、ビシッと怒るようにしてみてください(ここでも基本はあくまで騒ぎ立てないことです)。そして、言うことをちゃんと聞いたときには、忘れずに褒めてあげましょう。怒ると褒めるを繰り返し行ううちに、徐々に犬の行動も改善していきます。
複数の犬が生活を共にする場合、よく見られるのが先輩の犬が、後輩にやきもちを焼いてしまうケースです。主な原因は、これまで述べた通り犬の序列意識にあります。そこで、その習性をうまく利用します。具体的には、2匹でいるときには徹底して、先輩の犬の方を優先します。例えば、おやつやドッグフードを与えるときも必ず先輩の犬に先にあげるようにします。このとき、後輩の犬が構ってほしそうにしても、グッと我慢します。
犬をわが子のように考え、平等に接しようと考える方も多いと思いますが、犬は人間よりも、序列意識に敏感な動物です。いっけん、後輩犬に酷なようですが、こうすることで、先輩犬も自分の立場が守られて安心し、後輩の犬も自分の序列を意識して、丸く収まることが多いのです。
また、シンプルですが、大切なものを犬の手の届かないところに置くことも、効果的な対策の一つです。靴やスリッパは玄関先から靴箱の中へ、ぬいぐるみやメガネなどの小物は、タンスの上などの高いところへ移動させておけば噛まれる心配もなくなります。
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