PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ

犬は満腹でもドッグフードをおねだりするって本当?

 

うちの犬はくいんしんぼうで、ドッグフードを食べたすぐ後でもおやつを欲しがるの…と飼い主さん同士の間でよくある話題でしょう。特に、フレンチブルドッグやパグ、ビーグル、コッカーなどの犬種は、とりわけ「くいしんぼう」な場合が多いようです。さっきドッグフードを食べたばかりなのにまたおやつのおねだり…。ビニール袋をカサカサさせる音に敏感で、さっと駆け寄りお座りをして「おやつをちょうだい」のアピール。ついついドッグフードを多めに…とあげすぎてしまうことはありませんか?

 

「満腹」機能が犬の脳にはありません

ある動物病院の救急外来に運ばれてきたビーグルの実話です。通販で購入したドッグフードが届き、段ボールに入れたまま玄関先に置いて、飼い主さんはそのまま外出してしまいました。2~3時間して自宅に戻ると、玄関には噛みちぎられた段ボールの破片が散らばっている上に、いつも出迎えに出てくるはずのビーグルが全く音もさせずに静かです。飼い主さんは留守中に何があったのかと焦って、愛犬の名前をよび家中を探し回ったそうです。あまりの声におびえながら姿を現したビーグルは、お腹がパンパンに膨れあがり、荒い息をし、歩くのもやっとの状態です。気が付けば買ったばかりの3kgのドッグフードの袋が床にあり中身はからっぽ。つまり、飼い主さんが出かけるのを見計らって、ビーグルが段ボールを破り、中のドッグフード3kgを完食してしまったのです。すぐに病院へ連れて行こうと焦る飼い主さんがビニール袋を手にとりカサカサとした音に愛犬が反応し、いつもおやつをもらう時と同様に足元でお座りしていたそうです。

 

お腹がパンパンに膨れ上がり、息をするのも辛い状態でも、犬は条件反射で音や飼い主の行動に反応し「おやつ」をおねだりしてしまうのです。自分のお腹が膨れ上がっていること、息がつらいことが「満腹」であるからだと理解する機能が犬の脳にはないのですから、これは「うちの犬がおバカ」なのではなく、すべての犬に起こりうることなのです。

 

犬の脳は「良性強化」の傾向にあります

「良性強化」とは、この行動をとったらいいことが起きたという記憶をすると、次も同じ行動をすればいいことがきっと起こるというようにポジティブに考えることです。共に暮らす中で、あるとき、玄関まで出迎えにいったら、飼い主さんがほめてくれた、撫でてくれたといういいことが起きたのですから、次からは玄関が開くたびにお迎えに行くようになります。もし、玄関へお迎えに行ったとき、飼い主さんが犬に怒鳴ったり、たたいたりしたら犬の記憶は書き換えられ、玄関へ行ってもいいことが起きない、だからお迎えにはいかないというように行動が変化していきます。

 

飼い主である人間側が特に意識していなくても、犬にとっての「いいこと」は生活の中にたくさんあふれています。ドッグフードをもらう時に飼い主さんが「お皿」をもつ仕草、ビニール袋の中からおやつを取り出す仕草、上着を着てリードをもつ仕草…。どの行動もすべて、愛犬にとってのいいことが起こる前触れなのです。たとえ飼い主側が言葉を発していなくても、その行動の後には「いいこと」が起こるので、犬は期待しています。

 

 

ドッグフードやおやつを欲しがることも同様

ドッグフードやおやつをあげる時の飼い主の姿を想像してみてください。みな、笑顔で、優しい雰囲気ではありませんか? おやつをもらうためにお座りをした犬を褒め、撫でてあげてはいませんか? 犬は、お腹がすいているからおやつが欲しいのではありません。飼い主からのいいことがあると期待しているから、お座りをし、ドッグフードやおやつを欲しがるのです。

 

あまりよい実験ではありませんが、海外でこのような実験をした事例があります。2頭の犬のうち、片方の犬には毎日、笑顔で接します。もちろんドッグフードをあげるときにも、笑顔で優しく接します。もう1頭の犬には、同じドッグフードを与えるのですが、厳しい口調で接し、ドッグフードに口をつけようとしただけでびっくりさせていたそうです。次第にそれぞれに大きな違いが見えるようになり、厳しく接していた方の犬はやせ細り、ドッグフードもおやつも関心がなくなっていったそうです(実験の後、わんちゃんはちゃんと精神的にもケアされたそうです)。良性強化の脳は、悪い結果が起こると記憶した行動は次第に起こさないようになっていってしまうのです。

 

肥満のパグ犬が寝転んでいる姿

犬の健康を考えるうえで、肥満は一番の問題です

犬が肥満になると内臓機能のトラブルはもちろんのこと、膝や腰への負担も出るようになり、小型犬であれば骨折などを引き起こしてしまうこともあります。犬を大切に思う、何か喜ぶことをしてあげたいと思うのであれば、ご褒美はおやつにかぎらないということを覚えておきましょう。おやつ以外にも、やさしくなでてあげるということも犬にとっては大きなご褒美なのです。わかりやすい事例として、子犬と母犬の関係性を考えてみましょう。母犬は子犬にともに暮らすルールや様々なことを教えるなかで、ご褒美を与えます。それは、やさしく舐めてあげることです。叱るときには、強く噛み、褒めるときには優しく舐めてあげます。子犬にとって母犬のこの行動こそが何よりの「ご褒美」なのです。人間とともに暮らす中で、飼い主に優しく撫でてもらうことも、愛犬にとっては何より「ご褒美」になるのです。

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犬と祖先を同じくするオオカミも満腹中枢がありません

余談ですが、犬と祖先を同じくするオオカミを題材にした絵本で「嵐の夜に」という絵本があります。ある嵐の夜に偶然出会ったオオカミと子羊の童話です。世界中で親しまれているこの童話も「満腹中枢」の脳科学の観点から読んでみるとより深く感じることができる一例です。そもそもオオカミには満腹中枢がないといわれています。オオカミは24時間常に空腹で、狩りを続けています。どんなに大きな獲物を食べた後でも、すぐに次の獲物を求めて狩りを続けてしまいます。常に空腹なオオカミの前に、子羊がいるのですからもちろん獲物として食べてしまうのが当然です。ですが、友情を優先して、食べずに我慢していたからこそ、この絵本のテーマが成り立つのです。

 

この童話の主人公がもしオオカミではなく、ライオンだったのなら、これほどまでに人気作にはならなかったでしょう。なぜならライオンには満腹中枢があるので、たまたま嵐の夜には満腹であれば、目の前に子羊が居ても食べなかったということが成り立つからです。オオカミの我慢がどれほどのものであったかというのは、「満腹中枢」がないことから想像するとより深く理解できることでしょう。

 

 

 

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