PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
愛犬の健康を考えるうえで、食事は何より重要なものです。ドッグフードは、日々新商品が店頭にならび、その中からどの商品を選んだらいいのか誰もが迷うことでしょう。
犬用のおやつのジャーキーにも総合栄養食の表記がされているものがあります。これはドッグフードの代用として主食になるのでしょうか?
ドッグフード選び際の基準として、「総合栄養食」と表記のある製品を選びましょうというものがあります。総合栄養食とは、犬が生命を維持する上で必要となるすべての栄養素を含んでいる食事という意味です。総合栄養食と十分な水を与えるだけで、栄養バランスの整った食事になり、野菜や果物、おやつなど他の食べ物を与える必要はないとされています。
この栄養素の含有率は、AAFCO(アメリカ飼料検査官協会)により制定されており、広く世界中でドッグフードの製造に活用されています。AAFCOにより基準値が制定されるまでのドッグフードは、牛豚の飼料と同内容の栄養バランスのものであったり、中にはたんぱく質を一切含まない穀物だけのものであったりと劣悪なものばかりでした。
ですが、犬が家族の一員となり、健康や栄養に関して飼い主の意識が高まる中で、社会的な動きが起こり、「健康的な食事」というものの基準値が明確に制定されたのです。
このAAFCOの定める基準値をすべて暗記する必要はありませんが、ごく一部大切な栄養素の部分だけは、ドッグフード選びの参考に覚えておきましょう。
栄養素 | 子犬 | 成犬 |
たんぱく質(肉、魚) | 22% | 18% |
脂肪 | 8% | 5% |
カルシウム | 1.0% | 0.6% |
例えば、ドッグフードの中には、肉や魚を使用せずにトウモロコシや小麦などの穀類だけを原材料に製造し、肉や魚は合成添加物によって風味づけだけを行っている製品もあります。この場合、もちろん、たんぱく質の含有量が0になるのですから、総合栄養食と表示する事は出来ません。
また、手作り食で、総合栄養食並みのカルシウムを接取させたいと考えた場合、毎日、にぼしを1kほど食べさせる必要があります。
愛犬の食事の栄養バランスが整っていることはとても理想的ですが、実はAAFCOの基準値が制定された事である弊害も起こりました。
「総合栄養食」である事が、飼い主からの製品の評価、安全性への評価につながり、ドッグフードを製造する多数の会社がこぞってこの基準値を満たした製品を販売するようになりました。その中には「おやつ」として与える事を前提とした商品も多数含まれています。
あるメーカーの販売するジャーキーには「総合栄養食」の表記がされています。パッケージに記載された給餌量を見ると、小型犬であれば1日10本、大型犬であれば1袋と書かれています。
この表記を見た飼い主は、「おやつ」の給餌量だと勘違いしてしまう事も多く、毎日の食事に加え、このジャーキーをパッケージ記載の1日量を上限として与えてしまうのです。あっという間に、愛犬は肥満化し、中には脂肪分の接取過多で脂漏症になる場合、耳の中のトラブルを発症する場合などがあります。
ですが、ジャーキーのパッケージに記載された総合栄養食の表記も給餌量の表記もなんら間違えではありません。この場合、メーカー側は、総合栄養食の摂取基準に基づき、ジャーキーを主食と考えた場合の1日あたりの給餌量を記載しているのです。
飼い主がジャーキーを「おやつ」として与え、食事を別に用意するといった場合を想定していないのです。なぜなら、総合栄養食を1日の摂取必要量食べ、十分な水を飲むことで、栄養学的には、10年ほどは健康に生存する事が可能とされているからです。つまり、総合栄養食と書かれたジャーキーと水だけで「食事」になるという事です。
偏食気味な小型犬の食事にジャーキーだけを与えているというご家庭があります。ドライフードを嫌ってしまい、ジャーキーしか口にしないと…。この場合、添加物の面は気になるものの、もし総合栄養食と書かれた製品であれば、栄養学的には「食事」として問題がないということになります。
愛犬の健康と長生きを願いながら、よりよい、高品質なドッグフードを選ぶためには、いくつもの判断基準を持つことが大切です。
総合栄食という基準は数ある判断基準の中の1つと考えておきましょう。なぜなら、総合栄養食という表記は栄養素の含有率の基準であり、原材料の品質の基準ではないからです。
劣化した肉、魚、人間が食べる事が出来ない品質の為に廃棄処分にした肉、魚であっても「たんぱく質」であることには違いはありません。ですから、これらを原材料に製造したドッグフードやジャーキーも総合栄養食という表記が可能ということです。
どんなに危険な添加物を含んでいても、栄養素の含有基準を満たしていると総合栄養食になってしまいます。ですから、ドッグフードを選ぶ場合には、栄養バランスと素材の品質、製造元への信頼性などを総合的に考えて選ぶよう心掛けましょう。