PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
ドッグフードローテーションとは、2種類以上のドッグフードを期間を分けて順番に与えていくことをいいます。
そのことから、またの名を回転食ともいいます。フードローテーションは、もともと人の食生活においてアレルギーの予防に効果があるとされており、同じように犬のアレルギーにも効果があるだろうとの考えから、ひとつの食育の形態として注目されるようになりました。
フードローションのメリットとしては、さまざまなフードを与えることでそれぞれの味に慣れ、仮に特定のドッグフードへの食いつきが悪くなって、ドッグフードを食べなくなったとしても、他のフードに切り替えることで犬の嗜好性(好み)の変化に対応しやすいということが挙げられます。例えば、極端に好き嫌いが激しい犬の場合には、さまざまな種類のドッグフードを与えることが食に興味を持たせるきっかけになるなど、ある意味では効果的なのかもしれません。
しかし、さまざまなドッグフードを与えることがデメリットになる可能性もあります。胃腸のあまり強くない犬の場合、短期間に内容の異なるさまざまなドッグフードを与えることで、胃腸に負担がかかり、消化不良を引き起こし、下痢や嘔吐の原因になる場合もあります。また、フードローテーションによってさまざまなものを食べることに慣れると、それによりさらに好き嫌いが助長され、わがままなわんちゃんになってしまうという懸念もあります。
そして、愛犬が体調不良を起こした際に原因の特定が困難になるという点も、フードローテーションのデメリットのひとつでしょう。例えば、犬の体調不良の原因がドッグフードにあるのではないかとの疑いを持ったとします。そして、体調を崩した時期に3種類のドッグフードでローテーションを組んでいたと仮定すると、1種類のドッグフードだけを与えていた場合と比較して、単純に原因の特定までに3倍の労力がかかることになります。フードによっては様々な食材を使っており、その場合には原因の特定はさらに難しくなることが考えられます。
さらに、コストと品質の面からもフードローテーションには問題があります。フードローテーションの場合、短期間のうちに複数のフードを与えることから、特定のドッグフードだけを与える場合に比べ、どうしても食事代が高くなってしまいます。そして、1つのドッグフードを食べきる前に次のドッグフードへと切り替えるとすると、食べかけのドッグフードが余ることとなり、その食べかけのドッグフードを次のローテーションの時期に使いまわせば、賞味期限ぎりぎりの古くなったフードを与えることになるかも知れません。愛犬の健康を考えるなら、ドッグフードは鮮度の良いうちに食べきってしまうのがベストだといえます。
2011年に、厚生労働科学研究チームにより『食物アレルギーの栄養指導の手引2011』が公表されました。この報告によると、「フードローテーションが食物アレルギーに効果があるという考えはエビデンス(証拠)に乏しく適切ではない」とされており、フードローテーションが犬のアレルギー対策に効果的だという説にも疑問符がつく形となりました。
もちろん、この手引が発表されたからといって、フードローテーション自体が完全否定されたということではありません。現在でもフードローテーションという考え方には賛成派と反対派がいるのが実情です。わんちゃんによっても、好みや体質は違いますので、どちらが正しいというわけではありません。
フードローテーションを勧める意見のひとつに、「栄養の偏りが防げる」というものがあります。
確かに、私たち人間の食生活からイメージすると、ひとつの食品だけを食べるよりさまざまな食品を食べている方が栄養のバランスが良さそうな気がしてしまいます。しかし、現在市販されている良質なドッグフードの多くは「総合栄養食」と呼ばれるもので、そのドッグフードを与えるだけで、水以外の犬に必要なすべての栄養素をまかなえるように作られています。そのため、毎日同じドッグフードを与え続けたからといって、栄養不足になるという心配はありません。逆に、複数のフードを与えいても、それぞれに栄養的な偏りがあれば、必要な栄養を確保するのは難しいでしょう。
結論としては、愛犬の健康のためには食べやすく栄養バランスのとれたドッグフードがひとつあれば良いのです。良質なドックフードをきちんと選んで与えるならば、必ずしもフードローテーションが必要ではないということになります。