PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ

個人輸入ドッグフードに潜むリスク

 

スーパーのドッグフード売り場や、ペットショップなどで、一見同じドッグフードなのに、値段が違う商品を目にすることがあります。同じ商品なのに、どうして値段が違うのだろう? 当然そんな疑問を持たれる方も多いことでしょう。

 

このような現象は、特に海外からの輸入品のドッグフードで多くみられます。それは「並行輸入品」の可能性が大いにあります。実は、同一の商品のうち、価格が安い方の商品のほとんどが、この並行輸入品と呼ばれる商品なのです。

 

 

正規輸入品ドッグフードと並行輸入品ドッグフードの違い

正規輸入品(いわゆる正規品)とは、海外のメーカーと直接契約を結んだ日本のメーカーが国内向けに輸入・販売しているドッグフードのことをいいます。

 

正規品を扱う国内メーカーの中には、海外に本店を置く企業の日本支社なども含まれ、これらの販売元は、大手と正式な契約を結んでいるという強みや、豊富な資金力などを生かして、一度に大量の商品を輸入することができます。

 

そのため、輸送の際も、船のコンテナを丸ごと貸切ったり、コンテナチャーター便などを利用することが多く、また貨物船の航路も、ドッグフードの品質保持に最適な、気温の低い北回りのルートを選び、より短時間で日本へと運ばれてきます。

 

さらに、メーカーによっては、品質保持のため冷凍保存して輸送されるケースや、欧米などの地域と異なり、高温多湿な日本の気候を考慮し、ドッグフードに含まれる水分量や脂肪分の割合を、日本向けに調整するケースもみられます。また、他にも商品の消費期限を1年未満に設定する例や、パッケージの表記もすべて日本語にするなど、細やかな配慮が随所で確認できます。

 

一方で、並行輸入品は、このような正規の業者”以外”の業者によって、国内に輸入された商品のことをさします。

 

これらの商品は、海外のメーカーと直接契約を結んでいない個人業者が取り扱うことも多く、正規品と違い、一度に輸入できる量も限られるため、その多くが他の荷物と一緒に運ばれる「混載便」を使って国内へ輸送されることになります。混載便は、チャーター便よりも運賃が安い分、寄港する回数も多く、輸送により多くの時間を要します。そして、航路に関しても赤道近くの気温の高い地域を通ることもあり、その場合、貨物船コンテナ内の気温は、一時60度以上になることもあるといいます。そのため、ドッグフードの酸化を含む品質の劣化が懸念されます。

 

また、混載コンテナは、日本に到着すると通関の際に、燻蒸(くんじょう)という工程を経ることが多いといわれています。燻蒸とは、農薬をガス状にしてコンテナ内を消毒する方法のことで、使われる薬品の種類によっては、発がん性や突然変異の原因になるとの指摘もあり、問題視されています。

 

燻蒸は、人が口にする食品に関しては、きちんとした安全基準が設けられていますが、残念ながら、ペットフードに関しては明確な安全基準が設けられていないのが現状です。そのため、どのような種類の薬品が、どの程度使用されているのか、部外者に知らせられることもなく、その危険性もまさに未知数といわざるをえません。

国産ドッグフードと輸入品ドッグフード 記事はこちら

 

 

「安さ」をとるか「安全」をとるか…

結局のところ、正規品との比較で並行輸入品が優っている点は「安さ」という一点に尽きるといえるでしょう。確かに、正規品は並行輸入品に比べて値が張ることは事実ですが、品質を維持しつつ、外国産のドッグフードを日本へと輸入するためには欠かせないものです。

 

そして、並行輸入品の安さは、基本的に、このような品質維持にかかるコストをカットした結果だといえます。そのため、正規品に比べ、品質の劣化は避けられないものと覚悟しておく必要があるでしょう。

 

また、日本と海外とでは、ドッグフードに関する法律も異なります。世界には、ヨーロッパやアメリカなど、ドッグフードに関して日本よりも厳しい安全基準を持つ国がある一方で、日本では使用を禁じられている添加物などの使用を許可している国もあります。

ドッグフードに含まれる危険な添加物とは? 記事はこちら

 

 

個人輸入された商品というのは、どのようなルートで国内に運ばれたのか曖昧なことも多く、日本よりも安全基準がゆるい国で作られた商品がそのまま手元に届く可能性も決してゼロではありません。

 

同じ商品が、一方で安く売られていれば「お買い得」だと感じますが、そこには、安さと引き換えに、さまざまなリスクが潜んでいるかもしれません。

 

 

国産のドッグフード

進化を続ける国産ドッグフード

以前であれば、ドッグフード先進国といわれる欧米産のドッグフードが、品質で国産のものを上回る時期もありました。しかし、各メーカーが、研究・開発を重ねた結果、現在では、国産のドッグフードの中にも欧米産のものと比べ、全く遜色のない高品質なドッグフードが多数登場しています。

無添加ドッグフードが注目される理由 記事はこちら

 

そのため、ドッグフードの品質だけを考えれば、あえて外国産の輸入品を利用する必要性はそれほど高くないといえるでしょう。それでも、外国産のドッグフードを試してみたいという場合は、出来るかぎり正規品を選ぶことをおすすめします。

 

正規品と呼ばれる商品は、衛生管理や食品の安全面においても、日本の基準に準拠した審査をクリアしており、そのため、品質の面で国産品に劣るという心配は少ないといえます。また、パッケージに日本語の記載があるのと無いのとでは安心感が違います。

 

もちろん、並行輸入品が必ずしも全て悪いというわけではありません。同じ商品を、安い値段で購入できることは、個人輸入された商品ならではのメリットでもあります。

 

しかし一方で、利用する業者によっては、対応がずさんだったり、品質管理の上で問題があったりと、さまざまなトラブルに巻き込まれる可能性もあります。安さと引き換えに、そのようなリスクをすべて自己責任で抱えなくてはならないということもまた、そういった種類の商品を選ぶ上であらかじめ理解しておく必要があるでしょう。

 

 

 

 

 

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