PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
人間の幼稚園と仕組みは同じで、朝から登園し、他の犬達と遊んだり、一緒にドッグフードを食べたり、昼寝をしたり、もちろんトレーニングもしながら、終日過ごすサービスの事です。
名称は様々で「ペットの幼稚園」「ペットのデイケア」「ペットの保育園」などとありますが、サービス内容はほぼ同一です。
中には、専用の車で送迎付きのところや、お揃いの通園バック、連絡帳、お弁当箱などのサービスを設けている施設もあります。
もちろん、費用もそれなりに高額で、一週間に数日のみ通う場合は50,000円前後、週5日通う場合には100,000円近い場合もあります。人間の幼稚園に比べ、この点はやや高額と言えるでしょう。
また、多くの施設は週末がお休みです。平日のみで運営する理由はもちろんあり、週末は飼い主さんとゆっくり過ごしてもらう為です。
飼い主さんが共働きや留守がちの場合、日中はサークルの中に、トイレと水のみを置き、10時間以上も留守番をすることもあるでしょう。しかし、それでは大切な幼児期の教育の機会を逃してしまいかねません。
ですから、平日、自宅のサークルで、一人で留守番をさせるのではなく、幼稚園というサービスを利用するという事が今、注目を集めています。
日本では、ペットショップで購入した子犬のしつけは、飼い主に一任されています。ドッグフードの与え方、トイレのしつけ方などは購入時に説明を受け、飼い主側も熱心に取り組みますが、この2つのしつけが終わってしまうと、まるでその犬に関するしつけが完了したかのようにとらえられがちです。
その上、ワクチン接種が完了する生後3カ月までは、外出や他の犬との接触を控えるようにと指導をしていますから、子犬の社会化教育は、なかなかタイミングが難しいものでしょう。
ですが、ペット先進国と言われるアメリカでは、犬のしつけは飼い主の絶対的な義務なのです。無駄吠えをする、噛みつき癖がある、散歩中のリードを引っ張るなどの問題行動があった場合、それは犬に問題があるのではなく、その犬の飼い主に犬を飼うに値する資質がないと判断されます。
あまりに犬のしつけが出来ていない場合には、動物虐待、飼い主失格とみなされ、犬は保護センターに回収されてしまうこともあるほどです。
アメリカでは、すでにご存知の方も多いでしょうが、日本のペットショプの様な生体の販売システムはありません。
犬猫を飼育したい場合には、保護センターから譲渡を受けるという仕組みになっています。基本的には成犬での譲渡が多いのですが、中には子犬も里親を探している場合があります。
子犬の里親を希望する場合には、引き取り後、2,3カ月間、子犬専門のしつけ教室や、訓練センターへ参加する事が当然とされています。
トレーニングセンターでのレッスンの内容は、日本でいうところの、いわゆるしつけ教室と代わりはありませんが、幼児期に他の犬と触れ合い、様々な経験を積む事、飼い主自身も犬の正しい扱い方を身に着ける事が出来るので、大変、有意義と言えるでしょう。
もちろん、費用は有料で、なかなかしつけの難しい犬種、飼い主が初めて犬を飼う場合などには、レッスン回数もかさみ数万円の負担になる事もあります。
これらのレッスンへの参加や正しいしつけが出来る体制が整っていることも、犬を保護センターから譲り受ける条件なのです。
「一人暮らしでも犬を飼えますか?」「共働きでも犬を飼えますか?」という質問は、生体販売をするペットショップの店頭で、よく交わされる会話です。もちろん、販売員の答えはYESでしょう。物理的、経済的、飼い主の健康状態などの点から判断した場合、答えは当然YESだからです。
しかし、犬を飼うという事は、自宅にサークルを置き、トイレシーツとドッグフードが常備されていれば、事が済む話ではありません。
健康で長生きをしてもらう為には、散歩による適度な運動、他犬との接触、交流なども当然必要になります。
自宅で共に暮らすには、無駄吠えや噛みつきなどもあっては困ります。
週末や長期の休みには、一緒に公園やドッグランへ行ったり、旅行にも行きたいと思う事でしょう。
犬を長時間留守番させ、外界との接触を断った生活をさせるという事は、人間にとって「困る」と感じる問題の多発につながります。
平日は、一人でサークルの中で過ごし、自分の生活のすべてが、このサークルの中で完結すると理解している犬を、飼い主の都合で、週末にドッグランへ連れだしても、犬自身はどう遊べばいいのか、どう他の犬と交流をもてばいいのかわからずに、萎縮してしまうものです。
中には、恐怖心から攻撃的な態度に出てしまう場合もあるでしょう。そうなると、飼い主の想いとは裏腹な結果になってしまいます。
もちろん、他の犬だけでなく、飼い主以外の人間にも強い警戒心を示し、噛みつきや威嚇、無駄吠えなどの行動を見せるでしょう。
自宅の中にいても、些細な物音に過敏に反応し吠えてしまいます。これらは全て、社会生活の経験不足が原因なのです。
犬を日中長時間留守番させる事のデメリットは、重々承知しているものの、いざ幼稚園にかかる費用を計算するとあまりに高額で…と感じる方もいるでしょう。
たしかに、一月で数万円の出費は、飼育費用として考えると高額です。しかし、犬が幼稚園に通うべき期間は、犬の生涯のうちで、ほんの僅かな期間です。
子犬の場合、社会化が必要とされている期間は、生後3カ月から生後1年までの間の数か月と言われています。つまり、ペットショップから購入し、ワクチン接種を終え、生後一年までの間の数か月の間、週に1,2度登園をすれば、十分な成果を見込めるでしょう。
この期間に他の犬との接し方、遊び方、飼い主以外の人間への警戒心を払拭する事で、その後、無駄吠えや噛みつきなどの問題行動の無い犬に育つのですから、費用もさほど高額とは感じないほどです。
もし、社会化を怠ってしまい、その後の十何年間も無駄吠えや噛みつきに悩まされ、共に旅行や外出を楽しめないというペットライフを送る事を考えたら、これはある意味、格安でさえあります。
また、里親制度なで成犬を引き取った場合や、愛犬の無駄吠え、怖がりに困っている場合にも、幼稚園は効果的です。施設によっては、成犬専用クラスを設けている場合や、子犬と同じ時間帯で受け入れを行っている場合もあります。
成犬の場合、子犬に比べ、問題行動解消までの時間もやや長くなったり、通園頻度を大目に設ける必要もありますが、必ず社会化の再トレーニングは可能です。施設に慣れるまでは、居心地の悪そうな態度や問題行動も見られるものですが、徐々に周りとの接し方を身に着けてゆくからです。
成犬を登園させる場合には、施設側にトレーニング知識と経験が豊富な担当者がいるかを確認した上で、申し込みをするとよいでしょう。
実は、犬も人間と同じで、さみしい、孤独だ、と感じている場合、寿命が短くなってしまう傾向があると言われています。
逆に老犬になってからも、毎日散歩で顔を合わせる友達がいる、同居犬がいるなどの精神的な張り合いがある場合、持病があっても、長生きする事が出来るようです。
シニアになったから、散歩が好きでないからと家で毎日昼寝をして過ごす生活させるのではなく、不定期にでも、他犬との交流の場を作ってあげると、きっとハツラツとしてシニアライフを送る事が出来るでしょう。
犬の幼稚園は、単なる過保護なサービスや擬人化を楽しむためのサービスではなく、犬が人間社会で共に暮らすうえでとても大切な経験を積む事が出来る場なのです。
週に一回、月に一回でもいいので、ぜひ登園の機会を作ってあげましょう。