PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
もし、そんな風に感じたとしたら、貴方ならどうしますか? 私たち人間の場合、何度もくしゃみが出るようなら、まず疑うのは風邪の初期症状かもしれませんね。また、花粉の季節であれば「今年もこの季節がはじまったか…」と、ちょっと憂鬱な気分になられる方もいらっしゃるかもしれません。
犬と生活を共にしていると、時折、愛犬がやたらと頻繁にくしゃみを繰り返しているという場面に遭遇することがあります。私たち人間の感覚だと「風邪かな?」とか、あるいは「犬も花粉症になるのかな?」などと考えるのがおそらくは一般的な反応ではないでしょうか。
しかし、犬がくしゃみを繰り返している場合、それは思わぬ病気や体調の変化のサインかもしれません。今回は、普段あまり気にすることがないかもしれない犬のくしゃみについて、ちょっとだけ考えてみたいと思います。
基本的に犬の場合も、くしゃみの原因は人とそれほど変わりません。鼻の中に異物が入れば、それを体外に排出するためにくしゃみをしますし、埃(ほこり)っぽいところや、花粉が飛んでいる季節に頻繁にくしゃみをする点なども共通しています。
また、風邪をひいたときやアレルギー性鼻炎を患った場合には、たとえ鼻に異物が侵入していなくともくしゃみが出てしまうところも人間と同じです。なお、これは鼻の粘膜を刺激するヒスタミンが体内で生成されることに起因する反応だといわれています。
人間と同じようにくしゃみをする犬ですが、実は通常のくしゃみの他に犬だけがみせる特殊な行動があります。それは「逆くしゃみ(発作性呼吸)」と呼ばれるものです。逆くしゃみは、くしゃみというよりは、どちらかというと軽い呼吸困難のように見えます。通常、くしゃみが空気を勢いよく鼻から放出する反応であるのに比べて、逆くしゃみの場合は、反対に勢いよく空気を吸い込むような反応であることから、まるで、くしゃみを逆再生させたようだということで逆くしゃみと呼ばれています。
初めて逆くしゃみをしている愛犬の姿を目撃したら、「うちの子が急に呼吸困難になってしまった」と心配されることでしょう。特に、あらかじめ逆くしゃみという行動を知らなければ、なおのこと焦ってしまって当然だと思います。
一説によると、逆くしゃみは、チワワやパグなどの小型犬に多く見られる行動だと言われ、その中でもとりわけ、短頭犬種と呼ばれる生まれつき鼻の短い犬種の場合には、軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう:のどにあるヒダが通常より長いために気道などがふさがれてしまう病気)の症状として頻繁にみられるとされています。
他にも、ウィルスやアレルギーの影響によるのではないかという説も存在します。しかし、残念ながら逆くしゃみが起こるはっきりとした原因は今のところまだ解明されていません。
ここまで不安をあおるようなことをお伝えしてきて大変恐縮ですが、ご安心ください。逆くしゃみの前後に犬が意識を失ったり、倒れたりということは基本的には起こりません。その意味では、病気というよりもむしろ人でいうところの「しゃっくり」に近いものだと考えておくとイメージしやすいかもしれません。
ただし、症状を知ったからといって症状が出た際に「どうせ逆くしゃみでしょう」と油断してかかるのはあまりよくありません。同じように見えても、稀に心筋梗塞(しんきんこうそく)や他の病気の症状である場合もありますので、頻繁に症状が見られるようなら一度獣医師の診察を受けておくことが望ましいといえます。また、診察を受ける前に逆くしゃみと思われる症状が出た時のワンちゃんの様子を動画として残しておくと、獣医師も症状が把握しやすく診察がスムーズに進むと思われます。
これまで見てきたように、犬も人間と同じようにカゼや花粉、アレルギーを原因としてくしゃみをします。しかし、最初にお伝えしたように、犬の場合はくしゃみが思わぬ病気のサインになっていることもあるので決して侮れません。くしゃみを主な症状とする病気は、早期に適切な処置をすれば大事には至らないものがほとんどですが、中には命にかかわるような危険な病気も含まれているため頻繁にくしゃみをしているようなら、注意が必要です。
普段から愛犬の様子をしっかり観察し、いつもと違った様子があればすぐに気付くようにしておきましょう。また、普段の食事にも気を配り、栄養バランスの整ったドッグフードを与え、免疫力を向上させ、健康な体作りを目指しましょう。