PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
老犬になり認知症になる犬もいれば、ならない犬もいます。しかし、認知症になる可能性を考え、兆候を見逃さず、認知症に対する知識や理解を持っていると、その行動に対する受け止め方が違ってきます。
認知症は脳の神経細胞の活動が衰え、知性、感情、運動をコントロールする自律神経機能が低下し、一度覚えたことを忘れてしまったり、運動能力が低下したり、愛犬は飼い主とのコミュニケーションを取ることが難しくなってきます。初期症状としては下のようなことが見られます。
・夜中に単調な声で鳴き出し、止めても鳴きやまない
・とぼとぼと歩く(前進のみ)
・ぐるぐると同じところを回る
・狭いところに入り、出られなくなる(バックが出来なくなる)
・よく食べるが下痢もせず、太らず痩せてくる
・日中寝てばかりで、一日を通してよく寝るが、夜中には起きて昼夜逆転する
・知っているはずのコマンドも無視する
・トイレの失敗が多くなる
認知症は脳の活動が衰え、やがて脳細胞が死滅していきます。残念ながら、死滅した脳細胞を再生させることは、現代の獣医学では不可能に近いことです。しかしながら、老化による脳の衰えは仕方のないことだとしても、様々な工夫で衰えのスピードを遅らせ、認知症の発症を防ぐことは可能です。
愛犬の単調な日々は、認知症発症のリスクを高めます。脳への適度な刺激が老化を遅らせてくれるのです。つまり、脳の活性化です。では、日々の生活の中で出来ることは…
・愛犬との毎日の散歩コースを変える
ぐるっと回ってくるコースを使っているなら、逆周りも良いでしょう。初めての道を通ってみるというのは、更に脳の活性化につながります。初めてのにおい、いつもと違う景色は愛犬にとって大きな刺激を与えてくれます。曜日によってコースを変えてみるのも一手です。足腰に問題がなければ、アジリティのあるドッグランもおすすめです。
・犬用の知育おもちゃを用意する
犬用の知育おもちゃは、様々な種類があります。犬用おやつ を中から取り出すもの、音の出るものなどなど。それらを定期的に入れ替えながら、愛犬の脳の活性化を図ります。
・愛犬と一緒にドライブやショッピング、旅行なども
これらも脳を刺激し活性化につながります。普段はお留守番してもらっているような用事でも、ドライブがてらちょっとしたお買い物に愛犬と一緒に行くと良いでしょう。また、最近では愛犬と一緒に泊まれるホテルなども充実しています。時間等に余裕があれば一緒に旅行することもおすすめです。
体内で細胞やDNAに活性酸素が増えている状態を『酸化ストレス』と言い、酸化を抑えることが犬の細胞障害を減らし、病気の予防に繋がることが分かってきました。認知障害や老化現象と酸化ストレスの関係はまだ完全には解明されていませんが、抗酸化作用のある物質を投与することが予防につながると言われています。抗酸化物質が脳内の酸化を食い止めることで、酸化の副産物として発生するアミロイドの発生を抑制し、結果、発症の予防につながるという仕組みです。では、抗酸化物資の摂取方法は…
・良質なドッグフードで摂取
良質なドッグフードに含まれるビタミンEで抗酸化物質を摂取できます。
・活性酸素を掃除してくれる栄養素を含んだ食物で摂取
抗酸化物質を豊富に含むゴマ、ブロッコリー、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、リンゴなどをカロリーオーバーにならない程度に与えます。いつもの「おやつ」をこれらの食品に変えても良いですね。また、これらが含まれたドッグフード利用することもおすすめです。
・栄養補助食品で摂取
抗酸化成分を含むサプリメントをいつものドッグフードに混ぜてあげると酸化抑制が期待できます。EPA(エイコサペンタエン酸 )やDHA(ドコサヘキサエン酸)など、オメガ3脂肪酸と呼ばれる成分を含むドッグフードやサプリメントを与えることで、認知症予防や、軽減に役立ちます。
認知症予防は、若いうちからの脳の活性化も重要な鍵となります。飼い主さんのライフスタイルに合った方法、愛犬の性格に合った方法で行っていきましょう。それでも、犬も歳をとれば「おじいちゃん」「おばあちゃん」になり、認知症になることもあります。大切な家族である愛犬の「老い」は飼い主さんにとって、受け入れがたいところもあるかもしれません。
今まで出来ていたことが出来なくなったり、介護や夜鳴きが続けば、本当は愛おしいはずなのに、疲れてその気持ちが見えなくなってしまったり…。特に初期の頃は、わんちゃんも自分の変化に戸惑ったり、ショックを受けているのです。飼い主さんは、大好きな愛犬を温かく見守り、愛犬と一緒に少しずつ「老い」を受け入れていく…。そんな心の準備をしておくことが大切なのかもしれませんね。