PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ

ドッグフードに含まれる肉と肉類の違いについて ~前編~

 

ドッグフードを選ぶ際に、パッケージや袋を手に取り成分表を眺めてみると、その中に原材料として「肉類」という表記がなされているものを見かけることがあります。

 

「肉類?それって肉の切れはしか何かでしょう。」と、何気なく見ていると特に気にしないような表記ではありますが、なぜ 「肉」 と表記せずに 「肉類」 と含みを持たせるような書き方をしているのか気になったことはないでしょうか。

 

 

ドッグフードの「肉類」にはちゃんとした定義があった

実は、肉類という言葉は、業者がただ何となくそう表現したものではなく、きちんとした定義があります。ペットフード公正取引委員会が定めたところによると、肉類とは、

『新鮮な又は適正な方法により保存されてある哺乳動物・家禽(かきん)類等の生肉、肉体部分、並びに上記動物の体又は体の一部から生じる全ての副生物及びその加工物』

のことをいいます。ちなみに、ここに記載されている家禽(かきん)類とは、その肉や卵、羽毛などを利用するために飼育する鳥の総称であり、または野生の鳥を人間の生活に役立てるために品種改良を施して飼育しているものをいいます。ペットとして飼われている鳥を家禽として扱う場合もあります。一般的に肉、卵用としてニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウなどがこれに当てはまり、愛玩用としてはオナガドリ、チャボなどが代表的なものとして挙げられます。

 

また、同委員会では、肉類について、具体的に次のような分類がなされています。

『原材料分類名 :肉類  原材料個別名:牛(ビーフ)、豚(ポーク)、羊(マトン又はラム)、うさぎなどの畜肉及び獣肉、並びにその副生物および加工品。鶏(チキン)、七面鳥(ターキー)、うずらなどの鳥肉並びにその副生物および加工品。ミートミール、ミートボーンミール、チキンミール等の上記原料のレンダリング物 等』

一見すると、これらの表記では、含まれる食品についてかなり詳細かつ具体的に示されているように見えます。
しかし、一つ一つ注意深く確認していくと、さらに気になる点も出てきます。まず、肉類の定義および、原材料個別名に記載されている「副産物および加工物(品)」という表現についてです。ここに記載のある「副産物」とは一体何なのでしょうか。

 

 

AAFCO

・AAFCOによる副産物についての定義

AAFCOと呼ばれる機関をご存知でしょうか。AAFCOとは、「Association of American Feed Control Official」の略称で、日本語では『全米飼料検査官協会』とも呼ばれています。(カタカナで「アーフコ」もしくは「アフコ」と表記されることもあります。)

 

AAFCOでは、主な役割として、ペットフードの栄養基準やラベル表示などに関するガイドラインを設定しています。これはペットフードの栄養基準や給与(餌を与える)方法の基準として世界中で採用されているスタンダードな基準で、日本のペットフード公正取引協議会の規約でも、このAAFCOの栄養基準を採用しています。

 

AAFCO(米国飼料検査官協会)によると、副産物は次のように定義されています。

『肉副産物とは、と殺された哺乳類動物より取り出される、汚染されていない部位だが精製されてはいない肉以外の部位。肺、脾臓、腎臓、脳、肝臓、血液、骨、部分的に脱脂された低温脂肪組織、内容などを取り除いた胃腸などを指す』

 

先ほどお伝えしたペットフード公正取引協議会による定義にも「上記動物の体又は体の一部から生じる全ての副生物及びその加工物」とありましたが、これらを合わせて読むと、要するに、「死んだ動物の部位は、たとえ人間が食べられないものであっても、使えるものはすべて使うよ。」ということを言っているのです。

 

確かに、現状では、人間の食品衛生基準はドッグフードのそれに比べて遥かに厳しく、実際に、人間の基準は満たしていなくても犬の基準はクリアしている食品というのも多く存在しています。しかし、この副産物の中には、本来ならば犬の体にとってよくない、もっと言えば、本来犬が食べることができないはずのものまで含まれている可能性があるのです。

 

例えば、副産物に含まれる可能性があるものとして、死んだ動物の爪の一部や毛などがあります。また、内臓を利用する際に、腸などに残った糞(ふん)が混入する場合もあります。もちろん、すべての業者が、必ずしも故意にそのような有害な部位をドッグフードに混入させているわけではないでしょう。しかし、動物の死体からフードにつくる際に、毛や爪をすべて手作業で取り除くのはかなりの労力を必要とします。それは、内臓を使う際に糞などをきれいに洗浄するという作業に関しても同じです。

 

また、腸内の洗浄は行なっているけれど、手間をかけずに殺菌するために、大量の薬品を使っているという場合もあります。糞を取り除いたとしても、それと引き換えに、原料に有害な薬品を含んでしまったのではまさに本末転倒というものです。

 

さらに、原材料個別名の最後に記載された「等」という一文字も無視できません。なぜならば、いくら具体的な食品名が列記されていたとしても、最後に「等」と書かれてしまうと、そこに記載のない食品も使われているのだと疑わざるを得ないからです。

 

もし、食品の種類があまりに多岐に渡るために一部記載を省略しているならまだしも(それでも、労を惜しまずすべて記載すべきだとは思いますが)、もし仮に、表立って書けないような危険な成分が含まれていることを暗に誤魔化そうとしているのなら大いに問題アリです。

危険なドッグフードにご注意を! 記事はこちら

 

 

・AAFCOについて誤解しやすい点

AAFCOに関しては、一つ誤解されやすい点があります。

ドッグフードの品質をはかる目安として、AAFCOが定めた基準は世界中でスタンダードなものとして採用されていますが、実は、AAFCO自体はあくまで基準を示している機関に過ぎず、直接フードの検査を行ったり、認定や承認を行うということはありません。

 

この「基準を示しているだけ」というところはひとつ注意しなければならない部分です。

 

業者の中には、独自の検査でAAFCOの基準を満たしていると判断し、パッケージに「AAFCO認定」などと記載しているところがあります。しかし、AAFCOが特定のドッグフードを個別に認可、認定したりということはありません。

 

したがって、本来ならば、AAFCO(米国飼料検査官協会)の成犬用給与基準をクリア』もしくは『AAFCOの成犬用の給与(もしくは分析)試験をクリア』といった表記が適切なのですが、業者が自ら基準を満たしたと判断し、「AAFC0承認」や「AAFCOの基準に合格」などと勝手に記載しているのが現状です

 

あたかも、AAFCOから直接お墨付きをもらったかのような紛らわしい記載をすれば、消費者を混乱させることは明らかです。にもかかわらず、あえてそのような記載をしているというのは不誠実だといわざるを得ません

 

したがって、もし、そのような記載のあるドッグフードを見かけたら、今後は利用を控えた方がよいかもしれません。

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