PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
ドッグフードを選ぶ際に、パッケージや袋を手に取り成分表を眺めてみると、その中に原材料として「肉類」という表記がなされているものを見かけることがあります。 肉と肉類…その違いは何なのでしょう?
ドッグフードに含まれる肉と肉類の違いについて ~前編~ では肉類について等をご紹介させていただきました。後編ではドッグフードに使われる肉についてみていきます。
テレビのグルメ番組などを見ていると、肉を紹介する際に「A5ランク」の高級和牛などという言葉を耳にする機会があります。日本では、肉をアルファベットのA~Cに等級分けし、さらにそれを1~5でランク分けする分類方法が採用されています。これは、アメリカでの肉の分類方法を参考に、日本で独自に導入されたものです。評価の方法としては、牛の種類、成熟度、霜降りの入り具合、性別の4つの評価項目を総合的に判断して決められます。ちなみに、先ほどの「A5」ランクというのは最も質の高い最高級肉に与えられる評価ということになります。
食肉先進国と言われるほど、肉が食文化の中心に位置してきたアメリカでは、肉の品質を客観的に評価する方法として、いち早くUSDAによる格付けシステムを採用してきました。(お伝えした通り、日本でもそれを手本として、現在、独自の評価基準を採用しています。)ちなみに、格付けは全部で8段階(※)あり、日本でも「プライム」や「チョイス」と認定されたものについては輸入の対象となっています。
※USDA(アメリカ農務省)ミートの格付け8段階
1.Prime:最もジューシーな肉。霜降り・テンダーカット
2.Choice: 霜降り・テンダーカットであるが、Primeより若干下のグレード
3.Grade A(スタンダード): ジューシーではなく、テンダーカットでもないが、標準的な柔らかさ。一般的に人間が食するグレード
4.Commercial: ひき肉用
5.Utility:サンドイッチ・ホットドッグ用
6.Cuttings:缶詰肉、最も低級の肉であるが人間用の食材として使用される
7.Other Use:人間用の食材としては使用禁止
8.Grade D(3D Meat):Dead=死亡した、Diseased=疾病のある、Dying=瀕死状態
一般的なドッグフードに使われる肉のグレードは一体どのあたりのものなのでしょうか。上から3番目あたりでしょうか。それとも4番目・・・悪くとも6番目くらいでしょうか? 残念なことに、ドッグフードに使われる肉のグレードは、上の格付けでいうところの7番目、8番目というケースがほとんどだと言われています。
USDAの格付けでは、グレード8は3D Meatとなっています。しかし、ドッグフードの場合には、これにさらにDisabled(障害のある)のもう一つDを加えた、いわゆる「4Dミート」が使われている場合があり、問題となっています。
特に、安さを売りにしたドッグフードを製造販売している業者の中には、この4Dミートを廃棄処分される前にタダ同然で引き取り、ドッグフードの原料として使用しているところがあります。たまに、大量のドッグフードが驚くほどの安価で売られているのを目にしますが、安さだけに気を取られていると、知らず知らずのうちに愛犬の体を蝕むような危険なドッグフードを与え続けることになりかねません。そうならないためにも、安さの裏に潜むこのような危険性をあらかじめ理解しておくことが大切です。
もちろん、利潤を追求するあまり、そのような犬の健康を無視しているといわれても仕方がないようなものを販売している業者には大いに問題があります。しかし、一方で、需要があるからこそ、そのような商品が出回っているという事情もあり、必ずしも業者ばかりを責めるわけにもいきません。
愛犬の健康を守るためには、そのような安価なドッグフードには手を出さないことがイチバンです。その上で、安心できる素材を使った良質なドッグフードを選んでいくようにしましょう。
これまで見てきたような肉副産物や4Dミートなどを使った「安かろう、悪かろう」なドッグフードがある一方で、人間でも食べることができる水準のお肉や野菜、穀物を使って作られたいわゆる「ヒューマングレード」と呼ばれる良質なドッグフードも登場してきています。例えば、パッケージに「このドッグフードは、人も食すことのできる肉を使用しています」といった記載を見かけたら、それは品質の高いお肉を使って作られたドッグフードだと判断してよいでしょう。
良質な原料を使ったドッグフードかどうかは、実は簡単に見分けることができます。試しに、現在利用しているドッグフードの成分表を確認してみてください。例えば、「ラム肉、牛肉、鶏肉」のように、簡潔な書き方で食品名がはっきりと分かりやすく表記がされているのであれば、それは質の高いドッグフードだと考えてまず間違いないでしょう。
質の高い原料を使って作られたドッグフードは、成分表記がシンプルで分かりやすいという特徴をもっています。人間が食べることができる食材を使って作られているということは、言い換えると、私たちにとっても馴染みのある食材を使って作られているということですから、分かりやすいのは当然と言えば当然です。
逆に、聞いたこともない化学物質の名前がいくつも表記されていたり、肉類(豚、鶏)など含みを持たせるような曖昧な表現が多用されている場合には、肉副産物や4Dミートなど、質の低い原料が使われており、何とかそれを誤魔化そうとしている可能性も考えられます。
ここまで、肉類(副産物、4Dミート)をはじめとしたドッグフードに含まれる注意すべき原材料についてみてきました。今回は、「ドッグフードに含まれる『肉』と『肉類』という表記の違いについて」をテーマにしてきましたが、結局のところ、それはドッグフードをつくる作り手側の姿勢の違いが現れたものだと言えるのかもしれません。嘘偽りのない、人間でも食べることができる牛肉や鶏肉だけを使い、きちんと犬の健康のことまで考えて作られたドッグフードなのか、あるいは、劣悪な原料を使っていることを誤魔化し、犬の健康のことはそっちのけで利益の追求を優先して作られたものなのか。。。
そのような作り手側の意識の違いが、「肉」と「肉類」という似て非なる表記の違いに表れているのだとしたら、そのメッセージを受けとる役目は、愛犬の命をあずかる飼い主ひとりひとりの手に委ねられているということにほかなりません。