PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
犬の飼い主さんのお悩みでよく耳にするのが「ドッグフードを食べてくれない」というもの。食べてくれない理由は、大きく分けて二つ考えられます。体調不良や病気で食欲がなくなっている、又は、ドッグフード以外の嗜好性の高い食べ物の味を知ってしまったから。
嗜好性の高い食べ物とは、おやつ以外に、人間の食べ物が挙げられます。愛犬が人間の言葉を話すとしたら「だって、人間の食べ物って、味が濃くて美味しいんだもの!」と、言うことでしょう。
ドッグフードは、人間の食べ物よりずっと薄味にできていています。ただ、ドッグフード以外のものを食べたことがなければ、特にその味に不服も不満もなく、満足して食べているのですが、一度、人間向きの味付けである、ドッグフードよりも濃い味の食べ物を知ってしまうと「これは美味しい!」と学習し、ドッグフードを食べなくなってしまうことがあります。
犬はとても賢い生き物です。目の前のお皿に入っているドッグフードよりも、美味しいと感じられる食べ物があると知ったら、ドッグフードには口をつけず、美味しい食べ物を待つでしょう。
このように、ドッグフード以外の嗜好性の高い食べ物が出てくるのを待ち、目の前のドッグフードは食べなくなってしまう状況は「ワガママ病」や「ぜいたく病」と表現されることもあります。
なんだか、あまり聞こえがよろしくない呼び方なので、愛犬をこのように表現したくはないですね。
「ドッグフードを食べない」が飼い主さんのお悩み第一位! 記事はこちら
では、犬は嗜好性の高い食べ物が好きなのでグルメなのでしょうか?
犬が食事を選ぶ優先順位は、
1.におい
2.食感(歯舌ざわりや温かさ)
3.味
4.見た目
です。先祖がオオカミである犬は、元々は肉食動物、現在は雑食性動物です。そして、野生の肉食動物として生きていくためには、獲物を捕獲したら、味にはこだわらず、他に横取りされないよう味わってる暇なく丸飲みをするという習性があり、それらは今でも犬の中に残っています。
味覚は重要な感覚ではありますが、厳しい自然界で生き抜いていくには、過度な味覚は不要でした。つまり、人間の食べ物が好きではありますが、どうやら味にさほどこだわりはないようです。
味は下の表面にある「味蕾(みらい」という、つぼみの形をした器官で認識します。人間の場合は、味蕾が約10,000個ありますが、犬の場合は約2,000個で、人間と比べると1/5しかありません。つまり、犬はあまり繊細な味覚は、持ち合わせていません。
犬は「甘味」「酸味」「塩辛味」「苦味」の4つの味覚を持っていますが、「甘味」と「酸味」には敏感で、「塩辛味」には鈍感、「苦味」は感じ取れないといわれています。ちなみに、人間はこれに「旨み」が加わり5つの味覚を持っています。
味蕾の数からみても、犬は味にあまりこだわりはないといえるでしょう。
とはいえ、人間より味蕾の数が少ない犬でも、その美味しい味は覚えています。待っていれば、もっと美味しい食事がもらえるのではなかろうかと、ドッグフードを食べずに、飼い主さんの様子を伺います。
犬は本来、毎日同じものを食べ続けることに、安心感や執着を覚える傾向がありますが、とても賢い生き物でもあるので、色々な味を知ると、舌も肥えてきます。また、大好きな飼い主さんが食べているものに興味津々です。
ドッグフードを食べずに飼い主さんの食べているものをもらえたら、それは犬にとって嬉しいかぎりのことです。
人間の食べ物を与えるとドッグフードを食べなくなる、というのは、決してドッグフードを嫌いになったわけでも、飽きたわけでもありません。ドッグフードに比べると、人間の食事の方が味がはっきりしているし、美味しそうな匂いもします。その食事を知り、その味や匂いを求め普段のドッグフードを拒否しているにすぎません。
ここで、ドッグフードを食べないからと、前に喜んで食べた人間と同じ食事を与えると、更にドッグフードを食べなくなってしまいます。
犬にとって必要な栄養素は、人間と同じですが、その割合は違ってきます。無添加ドッグフードなど、良質なドッグフードであれば、それだけで十分な栄養が摂れて、健康にも良いので、日頃からドッグフード以外の食事は与えないほうが良いかもしれません。
また、誕生日など記念日にスペシャルな食事にした次の日に、普段のドッグフードを食べてくれなくても、ひとまず様子をみましょう。健康で元気な成犬であれば、2~3日食べなくても過度に心配する必要はありません。