PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
犬には肛門腺という、人にはない器官があります。スカンクやイタチが、危険を感じたり敵に襲われたときに、悪臭のする液体を噴出して撃退するといわれますが、それと同様の器官です。
もともと犬の肛門腺は、強烈なにおいのする分泌液を出して、マーキングしたり、スカンク同様に外敵から身を守るための役割をしてきました。
人間の指紋が、一人一人違うように、犬1匹、1匹で臭いが違うので、お互いにこの臭いを嗅ぎ合うことで、情報交換をするのです。犬たちが、お互いにお尻を臭いを嗅ぎあうのはそのためでもあります。
性格や縄張りの範囲など、さまざまな情報が入っているため、気の弱い犬は自分の性格や縄張りを知られたくないので、しっぽで肛門を隠して、臭いを嗅がれないようにしている子もいます。
肛門の左右に一つずつあります。肛門腺から出る分泌液は、肛門嚢と呼ばれる袋に溜まります。お尻の穴を時計の中心に例えると、ちょうど4時と8時の位置に、この肛門嚢があります。
汗腺から分泌されるものは汗、唾液腺から分泌されるものは唾液、そして肛門腺からも、同様に分泌されるものがあります。それは脂質です。この分泌物は、非常に臭いが強く、ドロッとした粘土状ものからサラサラした液状のもの、色もさまざまで、黄色っぽいものから茶色や灰色、黒など犬によって違いがあります。
これらの違いはドッグフードの種類などの、食生活による影響も受けています。おやつの食べすぎや、人間の食事を食べている犬、添加物が多く含まれたドッグフードを食べている犬は、ドロドロした分泌物が溜まりやすい傾向にあります。また、シニア犬になり脂質代謝が落ちたきた場合も、粘土状のものが溜まりやすくなります。
本来は、排便時に肛門腺が圧迫されて、うんちと共にこの分泌物が排出される仕組みになっていますが、現在は、様々な品種改良がされて、オオカミたちがマーキングをしていたようにはできなくなってきています。
人間と共にに生活するようになり、少しずつ肛門括約筋が衰えてきて、オオカミのような大型犬以下のサイズである中型犬や小型犬は、自分で排出できなくなったようです。分泌物が溜まりすぎてしまうと、細菌感染を引き起こしやすく、炎症や化膿、そして破裂をしてしまうこともあります。
分泌物が溜まると、痒みから犬が肛門を舐めたり、お尻を床にこすりつけたりする行動が見られます。そして細菌感染を引き起こし、化膿性肛門嚢炎に…。炎症が進み、肛門嚢内の化膿がひどくなると、肛門嚢内に膿汁が貯留し、膨れて膿瘍になることもあります。
さらに化膿が進むと、肛門嚢破裂といって、膿汁内の細菌の毒素により、肛門脇の皮膚が壊死して破れ、大きな穴が開いてしまいます。
分泌物が排出されず、溜まりすぎてしまうと、破裂をしてしまう場合もあるので、定期的に肛門腺を絞ってあげます。特に小型犬や肥満犬、シニア犬は自力で排出できないことが多いので、人の手が必要となってきます。
犬によって溜まるスピードが違うので一概にはいえませんが、だいたい月に1回は絞り出してあげるといいでしょう。愛犬がお尻を床にこすり付けたり、お尻を気にして舐めたりしていたら、肛門腺に分泌物が溜まってきた合図です。
1)片方の手でしっぽを持ち上げ、もう片方の手で肛門の左右を触り、ふくらみを確認します。だいたいアナログ時計の4時と8時の位置です。
2)下から上に向って、ふくらみをつまみ、押し上げながら、肛門から分泌物を出すような感じで絞り出します。力を入れ過ぎると痛いので、優しく、下からゆっくり袋を押し上げるように行います。
3)コリコリとしていたら、まだ絞りきれずに残っています。肛門の周りがフニャフニャになったら終了です。
・肛門腺に溜まった分泌物は、非常に臭いが強いので、下に新聞紙を敷き、ティッシュをあてがって行うなどして、周囲に付かないようにします。
・突然勢いよく思わぬ方向に噴出することが多々あります。
・勢いよく出てくるので、のぞき込みながらやると顔にかかる場合があるので、少し離れて行いましょう。
・痛がったり、嫌がったりする場合は無理には行わず、獣医さんやトリマーさんに相談しましょう。
・絞り出した分泌物の色を確認しましょう。緑色や鮮やかな赤色をしている場合は、炎症や化膿をしている可能性があります。動物病院に行って診てもらいましょう。
慣れてしまえば、肛門腺絞りは飼い主さん自身が自宅で簡単に絞ることができますが、定期的にトリミングに通っているのであれば、肛門腺絞りもシャンプーと一緒に行ってくれる場合が殆どです。また、自宅でできない場合は、肛門腺絞りだけ動物病院やトリミングサロン、ペットショップ等で処置してくれるので、相談をしてみましょう。
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