PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
ときどき、犬を飼っている人から「うちの犬が、最近、いうことを聞かなくて困る」という話を聞くことがあります。それまで、素直にいうことを聞いていたのに、ある時から、ドッグフードを与える前の「マテ」や「オスワリ」などの指示に従わなくなったというのです。
人間の場合、たいてい思春期に差し掛かると、一度は反抗期を経験し、両親や学校の先生など周囲の大人のいうことを素直に聞けなくなる時期があります。飼い主さんの言うことを聞かない犬話を聞くと、「犬が言うことを聞かない原因は、もしかしたら反抗期?」と思うことがあります。
ある時期を境に、愛犬が急に反抗的な態度を取り始めたことに驚き、「もしかしたら、自分は躾に失敗してしまったのではないか」と、心配な気持ちの飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
実は、「犬にも反抗期はある」といわれています。
気になる反抗期が訪れる時期についてですが、一般的に、小型犬で生後4~6ヶ月、大型犬で生後9~12ヶ月頃に迎えることが多いようです。ちなみに、この時期は、メスでは発情期が始まる頃、オスはマーキングが始まる時期と重なります。
なぜ犬にも反抗期があるのでしょうか。これは、犬がもともと集団のメンバーに序列(順位)をつける習性をもっていることとも関係しています。
生まれて間もない子犬の時期を過ぎると、犬にも少しずつ「自分はこうなんだ」という自我が芽生え始めてきます。すると、家族に何か行動を促されても「やりたくない」と感じることがでてきます。
自我が芽生えたての子犬には、まだ自分が家族の中で、どのような立場にいるのかうまく理解することが出来ません。そのため、わざと反抗的な態度をとり、自分の要求がどのくらい受け入れられるのか、あるいはどのくらいわがままを言ったら怒られるのかということを確かめているのだと考えられています。
人間でも、反抗的な態度が顕著に表れるケースもあれば、まったく反抗期などなかったという人もいるように、犬の場合も、犬種や犬ごとの性格によって、反抗の程度や時期には個体差がみられます。
愛犬に反抗的な態度を取られると「私の躾が良くなかったのか」と悩んでしまいます。ですが、反抗期は多かれ少なかれ、どの犬にも訪れます。そして、それは普段の躾がうまくいっているかどうかとは、実はそれほど関係がなく、反抗期は犬が子犬から成犬になるための通過儀礼のようなものです。
反抗期は、子犬が自立する時期に差し掛かったサインでもあります。それまで、群れの中にいて守られていた存在から、徐々に独り立ちし、自らの力で生きていく準備をしているのです。そして、「自分のことは自分でやる」という気持ちが、しばしば反抗的な態度となって表れてきます。
もし適切な時期に反抗期を迎えたなら、それは愛犬が順調に成長を遂げているということでもあります。ただ、そうはいっても、家族や周囲の人に対し、あまりに攻撃的な態度をとっていては、困ってしまいますね。
まず、一番わかりやすい行動として、飼い主さんの指示を聞かないということがあります。他にも、頭を撫でようとしたら、牙を向いて威嚇したり、お年寄りや女性、あるいは小さな子供など、自分より弱いと判断した相手に対して、攻撃的な態度を取ることもあります。
また、ある日突然、リードをちぎって脱走したり、特に理由もなく激しく吠え続けたりと、「なんでこんなことをするの?」と、首をかしげたくなるような行動を見せることもあります。しかし、ここで頭ごなしに怒っても、あまり効果は期待できません。
犬がいうことを聞かないのは、飼い主さんが嫌いになったからではありません。成長に従い、本能からくる自立心が芽生えはじめたことによるものです。実は、犬自身もそのような衝動をどうしていいかわからずに持て余していることも多いのです。
反抗期の行動に対しては、できるだけ感情的にならず、寛容な態度で接してあげることが大切です。それは好ましくない行動を「まあ、仕方ないな」と放任してしまうこととは違います。
心の中は寛大であっても、問題行動に対しては「それはやっちゃダメ!」とあくまで毅然とした態度で、犬に対してはっきりとメッセージを伝えていく必要があります。
1.ワガママを許してしまわない
犬が飼い主さんに反抗するのは、家族という群れの中での、自分の立場を確認するためでもあります。たとえば「オスワリ」の指示に従わなかったとき、「そんな気分の時もあるよね」と、それを許してしまうと、犬はその家族よりも、自分の方が立場が上だと勘違いしてしまいます。
そうなると、その相手にはもちろん、家族のほかの人に対しても、ワガママがエスカレートしてしまう可能性があります。犬が必要な指示に従わなかった場合は、それをそのまま許してしまわずに、「オスワリ」ならお尻を抑えてしっかり座らせるようにするなど、あくまで自分の方が立場が上だと、しっかり理解させなくてはなりません。
2.指示は大きな声でハッキリと
人間の間でも「弱い犬ほどよく吠える」という言葉がありますが、これは犬に対しても同じです。何度も指示を繰り返すと、その内容に重みがなくなり、犬も余計に言うことをきかなくなります。そのため、犬に指示を与える際には、何度もし繰り返し伝えるのではなく、ビシッと一発で伝わるよう、声の大きさやトーンなどを工夫しましょう。
3.家族で躾(しつけ)の方向性を統一する
反抗期のしつけは家族全員で協力して行うことがカギとなります。家族の中に1人でも、犬のわがままを許す人がいると、犬としては、わがままがダメなことか、許されることか、混乱してしまい、しつけの効果も半減します。
愛犬が反抗期に差し掛かったなと思ったら、一度、家族会議を開き、全員でしつけの方針を話し合っておくとよいでしょう。
一時期はあれほど反抗的な態度をとっていたのに、いつの間にか、また素直でお利巧な態度に戻っていた…往々にして反抗期とは、過ぎてしまえば意外とあっけなく感じられるものです。
反抗期の真っただ中にいるときは、何かと大変なこともありますが、犬と長く理想的な関係を続けるためにも、好ましくない行動には、あくまで毅然とした態度で臨むことが大切です。反抗期が終われば、またホッと落ち着ける穏やかな日々が戻ってきます。
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