PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
最近、ネットショップやペットショップの店頭、量販店などで「動物病院専用食」「特別療法食」と書かれたドッグフードなどの製品が販売されています。
以前は、動物病院でしか購入出来ないドッグフードとされていた製品が、同じ価格かさらに安い価格で販売されているのを見て、手にとってしまう飼い主さんも増えています。
中には、一般的なドッグフードを与えるよりも、安全で健康にいいのでは? と考え、あえて切り替える飼い主さんもいます。
療法食と呼ばれるドッグフードには、症状に合わせたいくつもの種類があります。犬のアレルギー対応用、肥満用、心臓疾患用、胃腸過敏な犬用、腎臓疾患用、尿路結石用などです。
最近は、益々細分化され、製品数も増える傾向にあります。
中でも、代表的な製品は「尿路結石用」です。このドッグフードは、使用する事での効果効能が明確な事から、利用者の多い製品です。
尿路結石とは、尿道内に小さな結石ができ、排尿の度に強い痛みや、出血を伴います。悪化すると排尿の度に痛みを訴えて鳴き、トイレを長時間我慢してしまうこともあります。
早期発見の場合は、飲み薬で結石を砕き、完治します。しかし、体質や食生活が原因の場合、慢性化し何度も結石を繰り返します。この結石の対処には、水分接取量を増やし、排尿回数や量を増やし、結石が小さなうちに排出してしまう方法が効果的と言われています。
排尿回数を増やすには、犬に通常の数倍の水を飲ませなければなりません。しかし、犬の水分接取を無理強いする事は出来ません。その為、療法食を使って水分接取量を自然と増やします。尿路結石用の療法食には、通常のドッグフードの数倍の塩分が含まれています。
ただし、主原料は肉を使用しているので、犬は当然ながら違和感を抱かずに完食します。しかし、食後あまりの塩分の多さから、喉が渇き、大量の水を飲みます。犬が大量の水を飲むほどの塩分となると、人間であれば口を付ける事も出来ないレベルです。
この食生活を続ける事で、水分接取量が常に数倍に増え、排尿量が増え、結石は小さく初期のうちに体外に排出されます。排尿の度に痛みを感じる事もありません。
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この方法は、尿路結石の治療という面では大変効果的です。しかし、長期間、過剰な量を摂取し続ける食生活は、次第に心臓や腎臓に異変を招きます。気がつけば、腎臓疾患や高血圧を新たに発症しています。
飼い主さんが独断で療法食を与えるという事は、この弊害を見逃す危険性があるという事です。獣医師は、尿路結石用療法食の給与量、継続使用可能期間を踏まえた上で、処方箋を作成しています。
当然の事ながら、生涯与える事をよしとせず、症状に応じて使用期間を調整しています。他疾患を発症した時は、どちらの治療を優先すべきか判断を下します。しかし、飼い主さんの独断で与えている場合、給与量、給与期間、他疾患の発症原因が不明確になりがちで、病気の発見が遅れがちになってしまいます。
飼い主さんが異変に気がつく頃には、いくつもの病気が進行している状態も少なくありません。獣医師の判断を仰がず判断するという事は、このようなリスクが伴うのです。
日本で市販されている大手メーカーの療法食ドッグフードは、仕入れに関して「獣医師免許保有者」を窓口とする事をルールとしています。
獣医師が何等かの形で関与していない限り、商品の仕入れ販売は出来ません。しかし、海外では動物病院用に開発された処方食がスーパーや量販店の店頭で市販されています。当然、動物病院の処方箋を必要とする事もありません。
これらの製品は、個人輸入やインターネット通販の形で日本にも多量に流通するようになりました。
日本の処方食ドッグフードより安価な為、飼い主さんの中には同じ症状だからと、安価な海外製品を購入するケースも増えています。しかし、日本と海外ではドッグフードの製造に許可されている薬剤の法律も異なり、安全面が確立されているとは言えない面もある事から、安易に価格だけの判断で海外製のドッグフードを使用する事は控えましょう。
処方食ドッグフードのみならず、愛犬の健康のために、できれば原材料をきちんと管理された、国産で無添加のドッグフードを選んであげたいものです。