PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
最近では、銀行やスマホなど様々な施設や機器に「指紋認証機能」が搭載されるようになりました。人間の場合、ひとりひとり違うと言われる指紋はセキュリティー対策や個人の識別・認証において大変便利なものです。
近年では、犬も家族の一員としてすっかり定着し、人間と同様に、個体認証や迷子の際のセキュリティ対策などへの関心も高まっています。
そこで、気になることがひとつ。
それは『犬にも、指紋のように個体ごとに違う特徴を持つ部位はあるのか?』ということです。
アメリカのケーブルテレビ向けのニュース専門放送局CNNによると、あるスマートフォンユーザーが、犬の肉球による指紋認証登録に成功したとのことです。
肉球は正確には指ではないので、これを指紋と呼んでよいかは微妙なところではありますが、しかし、肉球にも犬ごとに異なる何らかのオリジナルのパターン(紋様)が刻まれている可能性は十分に考えられます。
たとえば、オーストラリアに棲息するコアラは、人間の指紋と比較すると、電子顕微鏡を使ってもその違いが分からないほど似通ったものだそうですが、犬の肉球はそれよりもはるかにオリジナリティの高いデザインをしているのかもしれません。ただ、現状では、犬の手(足)に、人間と同様に指紋があるかどうか、ハッキリしたことはまだ分かっていないようです。
近い将来、犬も個人(個犬)認証する時代がやってくることは可能性として十分考えられます。そうなったとき、体のパーツとして、人の指紋のように一頭ずつ明確に異なる部位があれば、それを指紋の代わりとして使うことができるはずです。
実は、犬にも人間の指紋に相当するような個体情報を宿した「紋」が存在します。それは、とりわけ優れた感覚器官のひとつとしても知られている「鼻」です。
犬の鼻には、鼻紋(びもん、はなもん)と呼ばれる紋様があり、それは人間の指紋のようにひとつとして同じものは無いと言われています。
機会があれば、それぞれの犬の鼻を見比べてみてください。きっと、犬ごとに全く違う紋様をしていることが確認できるはずです。
ここで、いきなり「鼻紋」と言われてもあまり馴染みが無いという方も多いことでしょう。
鼻紋とは、ある種類の動物の鼻にある紋様のことを指します。現在その存在が確認されている主な動物として、犬、猫、牛などがあげられます。中でも、牛はすでに鼻紋を使った個体識別がごく一般的に行われています。
たとえば、和牛の世界では、すでにこの鼻紋を使った個体識別の方法が定着しており、全国和牛登録協会では子牛が生まれると、この鼻紋を使って個体管理や血統管理ならびに登録をおこなっているそうです。
牛の血統書には必ず、鼻紋のスタンプが押されています。それは、鼻紋にはひとつとして同じ紋様のものはないためです。つまり、鼻紋は読んで字のごとく、″鼻の指紋″といえます。
すでにアメリカなどのペット先進国では、犬の鼻紋認証のための機器の開発も進められています。さらに、欧米では、1940年以前から鼻紋での個別登録を認めているケンネルクラブも存在するのだそうです。
犬の個体認証をどうするかということは、以前からしばしば取り上げられてきたテーマでもありますが、そのひとつとして、「体内にマイクロチップを埋め込むことを義務化する」というものがあります。
実際に、マイクロチップについては、近年日本においても装着する犬や、読み取りを実施する機関も徐々に増え始めています。また、マイクロチップを埋め込んだことで、自宅から何千キロも離れたところにいた迷子の犬が見つかったという例も報告されています。
しかし、全体から見れば、これらのケースはまだまだ珍しい例であり、依然として、犬の皮膚に直接マイクロチップを埋め込むことに抵抗を感じる飼い主さんも多くいるのが現状で、体内に人工的な異物を入れ込むことによる健康への悪影響を心配する声や、犬の体を傷つけることにつながると反対する意見も上がっています。
一方で、鼻紋を使った個体認証はどうかというと、犬の鼻紋や鼻の形状を撮影し、それをデータベース化するという、かなりシンプルで画期的なもので、健康への影響はほとんどゼロに近いといえるでしょう。鼻紋情報については、従来から食用牛などで利用されてきた実績もあり、個体識別の精度が非常に高いこともすでに分かっています。
日本では、まだまだ発展途上の分野ですが、今後、鼻紋を使った犬の個体認証の導入が進むことで、迷子犬の捜索が今よりも容易になるかもしれません。そうなることで、当たり前のように行われている殺処分の件数を減らすことにつながるのではと期待され、少しずつ鼻紋への関心が高まりを見せ始めているようです。