PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
「愛犬の健康のためには無添加のドッグフードがおすすめ!」
ドッグフードを探していて、一度は目に(耳に)したことがある言葉ではないでしょうか。
なるほど、ドッグフードは無添加がいいのか…と、ちまたで売られているドッグフードをチェックしてみると、多くのパッケージに”無添加”の文字が書かれているのが、確認できることでしょう。
よし、今度からは無添加と書かれた商品を選ぼう。そうすればドッグフード選びは安心だから…。
当然そのように考える方もいますし、現にそれらのドッグフードの売れ行きは、なかなか好調だという話も耳にします。しかし、この無添加の表示の裏には、消費者の立場からはなかなか気づきにくいカラクリが潜んでいるのをご存知でしょうか。
ドッグフードの成分表示をチェックしていると、無添加と銘打った商品であるにも関わらず『○○抽出物』といった表示がなされているものを目にすることがあります。
「あれ?これってもしかして添加物じゃないの?無添加のはずなのに…どうして?」
そんな疑問に答えを出すために、まずは食品表示における無添加の定義と考え方について知っておく必要があります。
無添加食品とは次のどちらかに当てはまるものとされています。
1.食品添加物に分類されるものが使用されていない
2.天然に存在しない合成添加物が使用されていない
2によると、人工的につくられた添加物以外にも”天然に存在する”添加物というものが存在するようです。
この定義から、天然(自然)に”存在する”添加物を使用した食品であれば、無添加と表示してよいと読み取れます。無添加ドッグフードにも「天然添加物」であれば、使用を許可されているということになります。
一般的に、添加物は、合成添加物と天然添加物とに分けられます。
まず、合成添加物についてですが、これは、私たちが普段の生活の中で”添加物”と聞いてイメージするもので、人為的(人工的)に化学合成された成分のことをいいます。
一方で、天然添加物とは、植物や動物から成分を抽出してつくられるものです。合成添加物との違いは、人為的に作り出されたものではなく、もともと自然界に存在していた成分を抽出して使用しているという点です。
無添加という言葉からは、添加物を一切使っていない食品(上の定義でいう1の方)をイメージしがちですが、実は、必ずしもそうではなく、現に上の定義に則って、(天然)添加物を使用しながらも、無添加と記載した商品が少なからず販売されています。
天然添加物も使用していないドッグフードが100パーセント無添加のドッグフードです。理想的ではありますが、実際のところ、そうではないドッグフードの方が多く存在しています。品質維持の観点からも、100パーセント無添加であるドッグフードは難しいため、天然添加物が使用されていることが多いようです。
一般的に言われる添加物の主な役割として、栄養を補う、香り付けをするという事のほかに品質を保持するというものがあります。その役割を担う主役として名前が上げられるのが「酸化防止剤」とよばれるものです。
通常、ドッグフードの製造過程では、表面をオイルコーティングするために、油脂の使用が欠かせません。ですが、油は酸化が進みやすく、酸化が進むと、風味や色味、栄養が損なわれるだけでなく、毒性のある「過酸化脂質」に変化してしまう危険性があります。
このような毒性のある物質を含んだドッグフードを食べることで、一時的に下痢や嘔吐(おうと)などの症状が見られることがあります。また、継続的にそれらを体内に取り込むことで、やがては動脈硬化やガン、あるいはアレルギーや消化器障害を引きおこす可能性もあるといわれています。
輸入されたドッグフードはもちろん、国内産でも、工場でつくられてから、ご家庭に届くまでに一定の時間を必要とします。作りたての段階で、文句のつけようのない品質を誇っていたとしても、愛犬が実際に口にする時点で、品質が保たれていなければ意味がありません。天然添加物など、品質保持のための添加物があるということを知っておきましょう。
また、完全無添加のドッグフードは、保存料などを使用していないため、どうしても温度や湿度などを影響を受けやすく、長期間の保存には不向きであるという欠点も持ち合わせています。
ドッグフードの品質保持に欠かせない酸化防止剤。そこで気になるのが、ドッグフードの酸化防止剤として、どのような物質が使われて、また健康への影響はどの程度かということです。
まず、酸化防止剤に使われる天然由来の成分として代表的なものに、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)、ミックストコフェロール、クエン酸、ローズマリー抽出物などがあります。一方で、人工的に作られた酸化防止剤として、よく名前が挙がるものが、ブチルヒドロキシアニソール (BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エトキシキンなどがあります。
一般的に、天然成分を使った酸化防止剤は、体への有害性が小さい代わりに、酸化防止効果がそれほど高くないといわれています。また、抽出にかかる費用も人工的なものに比べ高くなることが多いようです。そのため、安価なドッグフードでは、低コストで製造でき、酸化防止効果も高い人工的な酸化防止剤に頼らざるを得ないという事情があります。
ただし、人工的に作られた成分の中には、発がん性を指摘される物質も含まれており、安さだけを理由にドッグフードを選んでいると、後々健康被害をまねく恐れもあります。もちろん、天然添加物だから必ずしも安全というわけでもありません。
愛犬の命をあずかる飼い主としては『無添加≠添加物を含まない』ということを理解したうえで、ドッグフード選びを中心とした、体調管理に気を配っていくことが重要なことです。たとえ『無添加』と表示されていても、「天然由来の成分など何らかの添加物は含まれている可能性がある」ということを知っておき、ドッグフード選びの参考にしましょう。