PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
犬の栄養学や、ドッグフードに関する研究が進む中で、無添加ドッグフードやグレインフリー(穀物不使用)ドッグフードが、大変注目を集めています。
家庭での手作り食においても、穀物や野菜を一切使用せずに、生肉だけを主食とするレシピも話題です。でも、愛犬にとって一番大切な事は、偏り過ぎた栄養ではなく、全てにおけるバランスです。
グレインフリーがいいと言われている表現には、広い意味合いがあります。
本来は、
・犬がアレルギーを発症する可能性の高い穀物を配合しないこと
・動物性タンパク質の代用として穀物を過剰使用しないこと
・栄養価の残留していない廃棄相当の穀物を使用しないこと
という意味で、これまでのドッグフード業界で、当たり前とされていた穀物から、人間の可食部位を取り除いた残留部位を、ドッグフードの主原料として活用する事が、誤りであるという意味です。
最近では、この意味合いではなく、ドッグフードに少量でも穀物が含まれていると、そのドッグフードは粗悪だと思ってしまう飼い主さんが多いようです。
ですが、良質なドッグフードを製造、開発するメーカーの中には、あえて穀物を配合するという取り組みを行っている事があります。
これは
・穀物を摂取する事が犬本来の食性に合致しているため
・穀物から接取出来る栄養素が犬にとって有益であるため
・穀物を摂取する事で胃腸の調子を整える事が出来るため
・穀物が肉のつなぎの役割を果たしてくれるのでドッグフードの粒を硬く成形出来るため
などの意図があります。
中でも、ドライフードを作る上で、微量の穀物は欠かせない存在です。もし、穀物を一切使用せずに生肉を高温加工し、水分を10%以下になる様に加工した場合、出来上がった肉加工品は、粉々の状態になり、粒状に成型する事ができません。
これでは海外で生産し、国内で販売をするという仕組み自体が成り立たない上に、たとえ国産のドッグフードでも、製品として流通させることができません。
この仕組みは、私達がハンバーグを作る時に、少量のパン粉を混ぜあわせたり、料理の工程で小麦粉や片栗粉をつなぎとして活用する事と同じ仕組みです。
もし、ハンバーグを作る時に、肉よりもパン粉の分量が多くなれば、それはまるでハンバーグとは呼べない料理に仕上がります。
この状態が、一般的に流通している、安価で穀物を主原料としたドッグフードです。
しかし、適量のパン粉であれば、加熱後も成形を維持でき、食感も良くしてくれる効果があります。大切な事は、「良質」で「適量」であるという事です。
ここ最近の、グレインフリードッグフードの流行はあるものの、全ての穀物を、愛犬の食事から除去する必要はなく、メーカーや製品に、どのような意図があるかを理解した上で、ドッグフードを選ぶ事が大切です。
グレインフリードッグフードの流行と共に、犬は穀物の消化が苦手、出来ない、という過剰な誤解が広まっています。
確かに犬は、穀物を主食とする草食動物に比べ、腸の長さが短いものの、穀物を消化吸収出来ないという程ではありません。
犬やその祖先である狼が、野生の環境下で生活をしていた時、犬本来の食性が確立されて場面においては、犬は草食動物や、小型肉食獣を獲物として、接取していました。
この時、まず内臓から食べつくします。この時、内臓の中には、未消化の状態に穀物が残留していて、この穀物も併せて接取し、消化吸収をしていたのですから、犬の内臓機能で、穀物を消化吸収出来ないという理屈は、成立しません。
ただ、ドッグフードに含まれる穀物が問題視されるのは、その品質と配合量が理由です。
犬は野生の環境で、鶏を1羽摂取した場合、その1羽の内臓を通じて摂取する穀物の分量は、非常に微量です。しかし、ドッグフードとして鶏1羽分の肉を加工した場合、同時に配合される穀物の分量は、自然界で摂取する分量の何十倍にも増えています。
つまり肉と穀物の摂取量のバランスが自然界ではありえない数値になっているのです。
このアンバランスな状態で、食生活を継続する事で、アレルギーなどの不調がおこります。大切な事は、穀物やその他の素材の配合において、0か100かという2択を設けるのではなく、それぞれの素材のバランスと、良質な栄養摂取につながるかという事です。
愛犬の食事から、気になる素材を完全に除去するには、手作り食が最適です。手作り食であれば、100%肉だけで食事を作る事も可能です。
ですが肉だけで、愛犬が毎日必要な栄養素とカロリーを摂取させるためには、小型犬であっても、毎日数kgもの肉を調達し続ける必要があります。
その上、このような食生活を継続した場合、
・過度な軟便
・口臭
・栄養バランスの乱れ
などが生じます。特に、便の状態は顕著で、軟便、下痢が続きます。中には、毎食十分な分量の肉を与えていても、筋肉量の低下や体重減少を起こす犬もいます。
肉食性の動物だからと、野生の食性に近い状態をと考えての策ではありますが、野生の環境だからこそ、肉だけを選別する事が出来ない事を、理解してあげましょう。
野生の環境では、目の前の獲物から内臓や骨を避け、肉の部分だけを食べるという、悠長な時間はありません。
内臓もその中にある穀物も骨も全てを摂取しています。この食性を維持する事で健康を維持する事が出来ているのです。
決して、肉だけ、野菜だけと偏る事は、愛犬にとってベストではありません。
また、穀物より、添加物の方が犬にとって良くないことを知っておきましょう。
愛犬の食生活を考える上で、一番大切な事は、様々な事へのバランスです。
・極端に特定の素材を除去する
・特定の素材だけに限定して過剰に与え続ける
・しつけのためにと好き嫌いを強行に改善する
など、ある一点を改善で来ても、別の面で不具合や、ストレスが生じることもあります。犬にとって食事は生活の中で一番うれしく、楽しみなイベントです。
安全で安心なドッグフードであることはもちろん、栄養バランスも、素材も、与えるタイミングも、全てにおいてバランスを考え、お互いがベストと思える方法を考えて与えましょう。
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