PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
今では当たり前に愛犬の主食になっているドッグフード。
ドッグフードはいつからあるのでしょう…? ドッグフードはどの様に誕生したのでしょうか…?
ドッグフード誕生のきっかけは今から150年ほど前、イギリスの船乗りたちの食事にありました。長期間航海することも多かった船乗りたちにとって、食料の確保は大変重要でしたが、当時はまだ食べ物を長期保存する方法が十分に発達しておらず、イギリスの船乗りたちの食事といえば、比較的保存の効きやすい「塩漬け肉とビスケット」が定番となっていました。
特に、ビスケットは長期間保存が効くように、カチカチになるまで固く焼いていたそうで、その固さを揶揄した船乗りたちの間では「リバプール(リバプールは後にビートルズなどを輩出したことでも有名なイギリスの都市)の敷き瓦」などと呼ばれていたそうです。このあまりに固いビスケットは、船乗りたちの間でも不評だったのか、航海が終わるたびに大量に食べ残り、残ったビスケットは航海が終わるたびに波止場に捨てられていました。そして、その捨てられたビスケットを食べていたのが、近所に住む野良犬たちでした。
当時、その様子を真剣に見つめる一人の男性がいました。アメリカ出身の機械技師ジェームズ・スプラットです。彼は、美味しそうにビスケットを食べる犬たちの様子にヒントを得て、1960年に世界初のドックフードをロンドンで開発・発表し、後にそれを事業化しました。彼の名を取って「Spratt’s Patent Meat Fibrine Dog Cakes」と名づけられた世界初のドッグフードは、小麦に野菜と牛の血をまぜてビスケット状にしたもので、現在のドライフードの原型ともいわれています。
それまで、長い間、犬の食事は飼い主の残飯を与えられることが多く、犬専用の食事(ドッグフード)の登場は当時の愛犬家たちの間でもインパクトが大きかったようです。はじめは贅沢品とも言われたドッグフードでしたが、ドライで器を汚さず、手軽で便利なことから人気が高まり、徐々に愛犬に与える食事の定番としての地位を確立していきました。特に、アメリカやイギリスをはじめとした欧米の都市部では、ドッグフードを与えることがある種のステータスシンボルとして一大ムーブメントを巻き起こしたといわれています。そのような需要の高まりもあって、ドッグフード市場へ参入する事業者も増加し、ヨーロッパやアメリカを中心に一大ビジネス産業へと発展していきました。
その後、日本でも戦時中にアメリカでは、すでに当たり前となっていたドッグフードが米軍により、日本に持ち込まれると、その影響を受けてイギリスでドッグフードが誕生してから100年後の1960年に国内初のドッグフードが飼料業界大手の会社より発売されました。
当時の日本は高度経済成長真っ只中にあり、経済的に右肩上がりの時期でした。経済的な豊かさに伴いわんちゃんをペットとして愛玩する家庭が増加するにつれ、ドッグフードは、着実に売り上げを伸ばしていきました。そして、当初は贅沢品というイメージを持たれていたものの、イギリスで初めてドッグフードが発売された時と同じように、飼い主の意識はいつしか「残飯」よりも「流行のドッグフード」を可愛い愛犬たちへ与えようという方向へとシフトしていったのです。また、最近では良質で無添加のドッグフードなど、愛犬の健康を考えたドッグフードが人気を高めています。