PERORIが考えるドッグフードとドッグライフ
犬の熱中症対策とその見分け方
熱中症とは、暑熱環境下において、身体が適応できずに起こる健康障害の総称です。つまり、体の中と外の暑さによって引き起こされる様々な体の不調のことをいいます。屋内、屋外問わず、高温や多湿等が原因となって起こり得ます。
熱中症は、熱射病や日射病と同義語として使われていますが、犬の熱中症の場合は強い日差しだけではなく、犬自身が生産した熱が、呼吸によって体内にこもってしまい発症するケースもあります。
私たち人間は、毛穴から汗を出して体温を調節します。しかし、犬は人間とは異なり、主に呼吸によって体温をコントロールします。そのため、湿度が高い時期は、呼吸を激しくするあまり、気温がさほど高くなくても熱中症を引き起こしてしまうこともあるのです。
特にフレンチブルドッグやパグなどの短頭犬種は注意が必要です。
熱中症が起こりやすいケース
・梅雨明け直後
・気温はさほど高くなくても湿度が高いとき
・アスファルトなど草が生えていない場所で活動したとき
などなど
ペット保険会社が全国20代~60代で855名の飼い主さんを対象に熱中症についての実態調査を行いました。
(2015年7月アクサダイレクト ペットの健康管理と熱中症対策の実態調査結果より)
~飼っている犬が熱中症を経験したことがあるのが2割超え~
よくある2.2%、たまにある14.2%、一度だけある8.0%
~犬の熱中症の多くは家の中で起きている!~
・犬が熱中症になったときの状況下
1位 家の中で普通に過ごしている時
2位 お散歩している時
3位 家の中でのお留守番中
4位 車での移動中
5位 家の外でのお留守番中
~飼い主さんの半数近くは、「適切な対処ができなかった」 ~
犬や猫が熱中症になってしまった際に、適切な処置ができたかどうかについて4段階で自己評価。
まあまあ適切な対処ができた49.5%、
とても適切な対処ができた5.5%、
合計すると、「適切な対処ができた」の評価が過半数となっていますが、半数近くは「適切な対処ができなかった」と振り返っていることになります。
対処については犬猫の合計値ではありますが、普段から熱中症対策を考えておくことが重要といえそうです。熱中症はあっという間に症状が進み、命に関わる重篤な状態になってしまいます。最悪の場合はショック状態で死に至ります。 言葉で伝えられない犬たち、大切な愛犬の普段と違うサインに早く気付くことも大切です。
熱中症の症状
初期段階
・ぐったりと元気がない
・あえぎ呼吸、呼吸が荒い(呼吸速迫)
・よだれが大量に出る
・なんとなく体が熱い
危険信号!
・体温が40度以上に上昇(高熱)
・目や口が赤く充血する
・嘔吐や下痢がある
・反応が鈍い
命に関わる重篤な状態!
・けいれん発作
・嘔吐や血便(下血)
・舌の色が青い又は白い(チアノーゼ)
・立っていられず横になる
・意識がない(こん睡)
犬は暑くなると浅く速い呼吸(パンティング)を始めます。舌を出して唾液を蒸発させ体温を下げようとしているのです。熱中症は、まずこのパンティングがだんだんと速くなり、あえぎながらよだれをたらし始めます。この初期段階で早めに手を打たないと、どんどん症状は進んでしまいます。
体温が上昇してくると、脈も速くなり、口の中や目の粘膜が充血してきます。次に呼びかけに対して反応が鈍くなったり、けいれんや嘔吐、下痢を起こす場合もあります。体温の上昇が更に続くと、脱水症状から血液が粘り気を増して血の巡りが悪くなってきます。そして酸欠症状によりチアノーゼ、心拍数の低下にともない血圧が下がり呼吸不全となり、手遅れになるとショック症状を起こしてしまいます。
熱中症になってしまったら
涼しい場所に移します。戸外であれば木陰へ、屋内であればエアコンで室温を下げたり、風通しの良い場所へ連れて行き横たわらせます。そして、一刻も早く体を冷やします。バスタブなど水に浸せる状況であればその中に、しかし急いでいるので、まずは全身に水をかけます。または、濡れたタオルで体を包んであげます。このときの水は、あまり冷たすぎないものにしましょう。
そのほか、保冷剤などをタオルに包み、熱放出のよい頸動脈付近(首の下、わきの下、太ももの付け根)に当てるのも熱を急速に下げるのに効果的な方法です。但し、体温の下げすぎには十分に気をつけなくてはなりません。40度を超える高熱になっているときは、すでに犬が自分で体温調節ができない「体内の体温計が侵されている」状態です。 急速冷却で体温を冷やす場合でも39℃になったら(犬の平熱は大体38℃~39℃)冷やすのを止めましょう。
意識がなくなり、舌がだらりとしていたら、その舌が引っ込み喉をふさいで窒息しないよう、舌を引っ張り出し、気道を確保します。
これらの応急処置で犬の状態が安定しても2~3日は注意深く観察が必要です。できれば、犬を冷却している間に動物病院と連絡を取り、受診することをおすすめします。
犬の熱中症の予防方法
真夏でなくても、状況によっては熱中症になってしまいます。
屋内編
ケージを置く位置は、南西の窓際を避け、風通しが良く熱がこもらないスペースを確保します。お留守番をさせる時は、温度調節と共に、通気を良くすることも大切です。ケージの側に扇風機を置き、風通しを良くしてあげましょう。
目安としては、温度は20℃前後、湿度は50%前後が犬にとっての快適な状況です。また、万が一、停電や故障でエアコンや扇風機が止まってしまった時に備え、クールマットや氷のう、氷水を入れたペットボトルなどで涼がとれるようにしておくと安心です。もちろん、十分な水分補給ができるよう飲み水の用意もしましょう。
ちょっとひと工夫
・扇風機の前に凍らせたペットボトルを置くと、扇風機の風が届く範囲内の温度と湿度を下げることができます。保冷剤や濡れたタオルでも代用可能です。
・「すだれ」や「よしず」を利用してみましょう。遮光カーテンで光をさえぎって部屋の気温の上昇を防ぐことができますが、部屋が暗くなってしまいます。そんな時に活躍するのが「すだれ」「よしず」です。
屋外編
犬が日陰に移動できるような配慮が必要です。犬のハウスの周りには「よしず」や「すだれ」を利用して日光を遮断してあげましょう。地面がコンクリートの場合は、すのこやウッドパネルなどを敷いて熱を下げましょう。
お散歩編
お散歩が大好き!な愛犬も夏のお散歩は熱中症を引き起こす可能性が高いので飼い主さんも心配ですよね。お散歩は涼しい時間帯の早朝3時~4時又は、夜遅い時間を選びます。夕方になると温度が下がってきてはいますが、アスファルトはまだまだ熱を持っています。
ちなみに、日陰の温度が27℃のとき、身長150cmの人がアスファルトの路面に立った場合、頭の体感温度31℃、大型犬で頭の高さ70cmの場合で体感温度33℃、小型犬で頭の高さ30cmの場合で体感温度37℃、という調査結果があります。しかも、このときのアスファルト路面の温度は46℃もの熱さになっていたそうです。
犬は私たち人間より暑さに弱く、飼い主さんのちょっとした油断で起こってしまうこともあります。車を木陰に止めたつもりでも、戻ってみたら太陽の移動で直射日光が照りつけていた、というケースもあります。熱中症は、防げる病気なのでちょっと気にかけて暑い夏を愛犬と一緒に快適に乗り切りましょう。こまめな水分補給も忘れずに行いましょう。
犬の体の半分以上が水分! 適切な水分補給で健康管理 記事はこちら
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